福岡市であったパートユニオンの結成大会
改正法を初めて読んだとき、「何だ、こんなものか」とがっくりきた。抜け道が多く、企業側に言い逃れのすきを与えてしまいかねない内容だ。
賃金や福利厚生などの待遇面で、正社員との差別を禁止する対象は、一部のパートに過ぎず極めて少ない。対象は(1)仕事や責任が正社員と同じ(2)雇用期間に定めがない(3)転勤などが正社員並み‐のいずれをも満たす人だけ。その他大多数の、同じ仕事でも有期契約の人や、責任の重さは同じなのに転勤がない人らについては、努力規定にとどまっている。
もう1つの問題は、正社員への転換を義務化していない点。単に、正社員を募集する際はパートにも伝え、採用試験の門戸を開いていればいいという内容で、結果的に不採用でも、理由を説明する義務も罰則もない。
そもそも、この法律の対象は8時間未満の労働者。正社員と同じ時間働きながら低賃金のいわゆるフルタイムパートは対象外で、最も働いている人が救われない。
ただレベルは低くても、改正されないよりされた方がいい。これまで言いたいことを言えなかったパートが、法をてこに会社側に働き掛けられるからだ。なぜこの賃金なのか、なぜ賞与がないのか、繰り返し説明を求めていけば待遇改善につながり、法の実効性も高まる。ユニオンはそれを後押ししてほしい。
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●4月施行 改正パート労働法 格差是正目指し15年ぶり見直し 「正社員並み」なお高いハードル
パートタイム労働法の改正は、1993年の制定以来初めての大幅見直しだ。
人件費抑制を図る企業が、正社員から、低賃金で人員整理もしやすい非正規社員へ雇用をシフトした結果、パートは全労働者の4分の1を占めるまでになった。パートで生計を立てている人も増えているが、賃金や福利厚生など正社員との待遇格差は大きい。
改正法は、これまで努力目標に過ぎなかった項目を、企業の義務と位置付けるなどした。
主な改正点は(1)雇い入れの際は労働条件を文書で明示する(2)待遇決定についての説明を、求められればする(3)正社員並みに働くパートへの差別的待遇の禁止(4)正社員化を進める措置を講じる。
ただ(3)はハードルが高く、対象となるのはパート全体の4‐5%とみられている。「正社員並み」かどうかの判断も、企業側に委ねられていることから、実効性を疑問視する声も出ている。
=2008/02/28付 西日本新聞朝刊=