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硫化水素を使った自殺相次ぐ 専門家「周囲も危険」

2008年04月04日

 硫化水素による自殺は、全国で頻発している。家族や周囲が巻き添えになる危険性があり、専門家は「ネットで硫化水素の作り方が普及するなか、早急に対策を取る必要がある」と警告する。

 2月29日、大阪市港区の大学院生(24)が硫化水素の充満する自室で死亡した。自殺とみられ、部屋に「有毒ガス発生中、警察呼べ」と張り紙をしていた。助け出そうとした家族もガスを吸って病院に運ばれた。

 神戸市北区でも3月27日、アルバイト男性(27)が死亡。硫化水素による自殺とみられ、家族らも病院に運ばれた。風呂場に「有毒ガス発生開けるな」と書いた張り紙があり、洗剤などの容器が残っていた。3月31日にも札幌市内のマンションで同様の方法で男性が死亡するなどの例が相次いでいる。

 硫化水素を発生させると、周囲にも危険が及ぶ。枚方市では4日午前、現場周辺が立ち入り制限され、救助隊員は全員「防毒マスク」を着用したという。

 阪大医学部法医学教室の的場梁次教授(法医学)は「硫化水素は頭痛や吐き気、息苦しさなどの中毒症状を引き起こす。高濃度であればすぐに意識を失い、死亡する危険がある。一命を取り留めても、脳に重大な障害を残す恐れがある」と警告する。

 市販の家庭用洗剤を用いて硫化水素を発生させ自殺する方法はインターネット上で広まり、多くの掲示板には洗剤の商品名まで記されている。製造元の洗剤メーカーは「モラルを持って本来の使い方をしてほしいとしか言いようがない」(広報担当者)と戸惑う。

 生物化学兵器に詳しい常石敬一・神奈川大教授は「硫化水素は簡単に作れるうえ、作り方もネットで普及してしまった。周辺を巻き添えにする恐れがあり、早急に対策を検討する必要がある」と指摘する。

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