府が児童相談所の業務評価と改善への助言を求めるために設置した専門家らの「府児童相談所業務外部評価委員会」(委員長、澤田淳・府立医科大名誉教授)が初めての報告書をまとめた。06年10月の長岡京市児童虐待死事件を受けた府の再発防止策をおおむね評価する一方、市町村や学校などとの連携強化を提言している。同委は来年度も調査を続ける。【藤田文亮】
京都市を除く府の宇治、京都、福知山の3児童相談所が対象で、▽速やかな安全確認ルールの確立▽地域ネットワークの実効性▽児相や保健所の組織強化の状況--などを、職員の聞き取りや実際の虐待事例などで調べた。
報告書によると、虐待通報から48時間以内に子供の安全を確認する新方針について、約95%(254件、07年度上半期)で実施できていた。児童福祉法で全市町村に設置が求められている「要保護児童対策地域協議会」は、07年度末で8市町が未設置だが、08年度中に設置される見込み。個別案件の市町村単位の会議や警察との連携は全体的には進んでいるものの、地域ごとに格差があることが指摘された。組織強化では増員や専門チーム設置などの組織改善が進んでいるが、職員のメンタル面への配慮や専門性向上の研修の一層の必要性も提言された。
「増加・複雑化する虐待事案に昼夜を通じて懸命に努力する職員を評価したい」としたうえで、「児相に重荷を負担させるだけでなく、保健所、市町村、民生児童委員、警察や地域住民の協働した取り組みが必要」と訴えている。
報告書は府のホームページ(http://www.pref.kyoto.jp/kosodate/gyakutai.html)で閲覧できる。
毎日新聞 2008年4月3日 地方版