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訃報:児童文学者の石井桃子さん=101歳

石井桃子さん
石井桃子さん

 「ノンちゃん雲に乗る」などの創作や「クマのプーさん」などの英米児童文学の名訳で知られる児童文学者の石井桃子(いしい・ももこ)さんが2日午後3時半、老衰のため死去した。101歳だった。葬儀は遺志で行われず、後日「お別れ会」を、東京都中野区江原町1の19の10の東京子ども図書館で開く(日取りは未定)。

 1907年埼玉県生まれ。日本女子大英文科卒。菊池寛と知り合い、文芸春秋社に入社(33年退社)。A・A・ミルンの原書に出合い、40年「熊のプーさん」を刊行。47年、創作の「ノンちゃん雲に乗る」を出し、ベストセラーになった。

 翻訳はほかにマーク・トウェインの「トム・ソーヤーの冒険」、J・M・バリーの「ピーター・パンとウェンディ」、ディック・ブルーナの「ちいさなうさこちゃん」、ビアトリクス・ポターの「ピーターラビットのおはなし」など。

 編集者として戦前は新潮社の「日本少国民文庫」を担当、戦後は「岩波少年文庫」「岩波の子どもの本」に携わった。

 また、自宅を子どもたちのために開放して「かつら文庫」を開設。その活動の記録「子どもの図書館」は児童文庫の普及に大きな影響を与えた。東京子ども図書館も設立した。93年、日本芸術院賞を受賞。

 94年に自伝的小説「幻の朱い実」を著し、03年には96歳でミルンの自伝「今からでは遅すぎる」の翻訳を出すなど、旺盛に文学活動を続けていた。

 ▽児童文学者の清水真砂子さんの話 上質な英語圏の児童文学を翻訳して紹介し、日本の児童文学の基礎を築いた巨星だった。文学者としては、いつも子どもの視点を忘れず、子どもとその時代をしっかり見続けた。若いころ、石井さんの作品を批判する評論を書いたこともあったが、その後も折に触れて励ましの手紙やはがきを下さるなど、いつも温かい目で見守ってくださり、大きな懐で児童文学を支えてくれた。

毎日新聞 2008年4月3日 10時36分(最終更新 4月3日 13時18分)

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