中国残留孤児への改正支援法成立を受けて、県内に住む残留孤児4人が、1億3200万円(1人当たり3300万円)の国家賠償を求めた控訴審の第1回弁論が31日、高松高裁であり、原告側が訴えを取り下げて終結。孤児らは「日本人として、誇りを持って生きていく」と誓い合った。【向畑泰司】
控訴審には、原告の長田国夫さん(65)=徳島市末広4▽村岡鋭子さん(69)=吉野川市山川町▽米田春子さん(77)=東みよし町足代=の3人が出廷した。
原告を代表して村岡さんが「どうか日本政府は、私たちを含めたすべての残留孤児に対し、誠意を尽くして、新しい支援策を実施してくれることを、心からお願いします」と言葉をふり絞りながら、最後の意見陳述を行った。
弁護団の瀧誠司弁護士が「孤児の人々にはさらなるきめ細やかな施策が必要。施策が実現できるよう、一層努力しなければならない」と締めくくった。「訴えを取り下げます」。との吉成務弁護士の言葉に、村岡さんは深くうなずき、長田さんと米田さんは何かを訴えるようにじっと裁判長を見つめていた。
その後、高松市丸の内の香川県弁護士会館に場所を移して記者会見。長田さんは「裁判は終わったが、新しい政策はまだはっきりわからない。これからも一丸となって国と闘っていかなければならない」と力を込めた。
林伸豪弁護士は「この新支援法が孤児の方々にとって良かったと言えるかどうかは、これからにかかっている」と今後の適切な法案実施に期待を込めた。
毎日新聞 2008年4月1日 地方版