地域の病院に分娩(ぶんべん)機能がない奥越地方の勝山市と大野市が三日、両市内の妊婦を受け入れている福井大付属病院(永平寺町)に二百五十万円ずつを寄付した。同病院は分娩に使う機器の購入費の一部に充てる。
自治体から国立大学法人への寄付は地方財政再建促進特別措置法の施行令で原則禁止されていたが、三月に施行令が改正され、寄付が可能になった。
勝山市の山岸正裕市長と大野市の岡田高大市長が三日、同付属病院を訪れ、目録を山口明夫病院長らに手渡した。山岸市長は「(妊婦の受け入れ先の付属病院を)援助できず苦慮していたが、好意が届けられてうれしい」と話した。
勝山市の福井社会保険病院が昨年四月に分娩機能を休止。同付属病院の提案で、妊婦健診は社会保険病院、胎児精密検査や分娩は同付属病院で実施するようになった。同付属病院によると、これまで奥越地方の約二十人がこの制度で出産したという。
両市は「何か援助を」(山岸市長)と寄付を考え、山岸市長は二月、同法施行令の改正を求める要望書を同法を所管している総務省に提出。三月十九日に寄付の要件が大幅に緩和された。
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