増加傾向にある患者からの病院内暴力・暴言に対し、看護師ら医療スタッフの安全を確
保するための「院内暴力緊急時対応マニュアル」が、県立中央病院で三日までに整備され
た。複数での迅速な対応や、状況の記録保存を徹底し、院内のみの対応が困難であれば警
察に通報する。被害を受けた看護師らには「対応がまずかった」と自責の念に駆られるこ
とがないよう心のケアにも留意する。
同病院では、これまで患者からの暴言や暴力の統計を取っていなかったが、「長時間待
たされた」「救急の患者に順番を抜かされた」などのいら苛立ちからくる暴言は二日に一
回程度、治療を拒んでたたくなどの暴力行為は年に数回発生しているという。
マニュアルでは、日常的な心がけとして「感情的な対応はしない」「はさみなどは患者
と反対側に置く」ことなどを明記し、特に患者と密接になるケアは「複数で行う」とした
。
加害があれば、看護師長などの責任者、事務担当者らが交渉を担当する。相手が凶器を
持つなど危険性が極めて高い場合は、避難するとともに院内全体に危険を知らせ、管理局
を通じて警察に通報する。
夜間救急では、大声で威嚇(いかく)する来院者への抑止効果を狙い、救命救急センタ
ー入り口に防犯カメラを取り付けた。周囲には張り紙でカメラ設置を知らせている。
県立の病院ゆえか「税を納めていれば、コンビニ感覚で利用できる」「いつでも専門的
治療が出来る」と過剰な期待を持つ患者もあり、希望通りにならず叫ぶ、居座るなどの事
例も出ている。同病院では、医療スタッフが動揺して職務に専念できないおそれもあると
して、カウンセリング、休養を取れる勤務調整にも努める。