民主党は昨夏の参院選で高速道路無料化をマニフェスト(政権公約)に掲げていた。期待していたのだが、すっかり忘れたようだ。
参院第一党となった民主党は、野党の力を見せつけて政府・与党を押し切り、揮発油税など道路特定財源の暫定税率失効を実現した。ガソリン値下げ販売が始まったが、高速道路無料化の主張は聞こえてこなくなった。
ホームページに載る民主党の公約を点検してみた。「高速道路は、一部大都市を除いて無料とします。多額の投資をしながら有効活用されていない高速道路を生かすことで、地方を活性化するとともに、流通コストの削減を図ります」と約束している。
ところが、今国会で民主党が力を入れるのは、道路特定財源の一般財源化と暫定税率廃止だ。民主党案を実行すれば「高速道路無料化の財源を見つけるのは難しくなる」と、近著「道路問題を解く」(山崎養世著、ダイヤモンド社)は指摘する。
なぜなら、暫定税率廃止で二〇〇八年度から二兆六千億円の財源がなくなり、道路財源の一般化で使途は分散するからと説明する。著者は民主党の「次の内閣」の国土交通相に指名されたことがあり、高速道路無料化の論客だ。
無料化の財源を民主党は工面できるのか、それとも公約をほごにするつもりなのだろうか。