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社説

B型肝炎提訴 患者全体を救済せねば(3月31日)

 今度こそ、国は肝炎患者全体の救済に取り組まなければならない。

 道内のB型肝炎患者・感染者五人が、感染の原因は幼少時に受けた集団予防接種で、注射器を使い回ししたためとして、国に損害賠償を求める訴えを札幌地裁に起こした。

 同様の訴訟は二十年ほど前に別の道内の原告によって提訴され、最高裁は二〇〇六年、使い回しを放置した国の責任を全面的に認めている。

 この判決を受け、当時の原告らはすべてのウイルス性肝炎患者への救済を迫ったが、国は救済の範囲を原告だけに限定した。

 この時、国が全国の患者に対する責任を認め、救済策をとっていたなら、今回、わざわざ訴訟を起こす必要はなかったのだ。

 わが国では一九四八年施行の予防接種法でジフテリアやコレラ、結核などに対する予防接種が義務づけられた。

 当時から肝炎は血液内のウイルスにより感染する病気であり、注射器の連続使用で感染する恐れがあることは医学的に知られていた。

 ところが、予防接種の現場では、ツベルクリン反応検査だと八七年まで、ほかの予防接種でも八〇年前後まで連続使用が続いた。

 国は注射器の交換を徹底させる義務を怠ったという原告の訴えは、十分に理解できる。

 前回の訴訟で国は、予防接種以外での感染の可能性があると主張、提訴から最高裁判決まで実に十七年もの歳月を要した。

 今回の原告の中には、すでに肝硬変を患っている人もいる。国はいたずらに裁判を長期化させてはいけない。非を認めたうえでの和解についても、十分に検討する必要があるだろう。

 国内にはB型肝炎患者・感染者が百二十万から百四十万人、C型を含めると三百五十万人ものウイルス性肝炎患者・感染者がいると言われる。

 薬害C型肝炎訴訟では世論の高まりもあって、今年一月に国との全面和解にこぎつけ、被害者救済法の成立を実現させた。だが、この法律の対象となるのは、汚染された血液製剤の投与を証明できる人に限られる。

 この法律とは別に、国は肝炎対策の一環としてインターフェロン治療の公費助成を来月から始めるが、B型肝炎では必ずしもインターフェロンが効くとは限らない。むしろ抗ウイルス剤の方が有効だが、助成の対象外だ。

 肝炎患者全体を見渡した施策が必要だ。

 福田康夫首相は薬害C型肝炎の被害者救済法成立を受けた談話のなかで「命の尊さを再認識する」と述べた。

 そうであるならば、今回の訴訟でも、原告の訴えに真摯(しんし)に耳を傾けなければならない。

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