いじめを苦に２００６年１０月に自殺した福岡県筑前町の森啓祐君＝当時中学２年（１３）＝の両親が３日、福岡市中央区の西鉄グランドホテルで「卒業展」を開いた。啓祐君が中学校を卒業するはずだった今春を遺族の節目にするとともに、啓祐君と同世代の子どもたちにいじめ問題を考えてほしいと開催した。

　会場には啓祐君の赤ちゃんから中学生までの写真約７０枚を展示。制服も掛けられている。ポケットには高校受験だったはずの息子を思い、今春、両親が太宰府天満宮で授かったお守りが入っている。亡くなる２日前に購入した服も展示した。

　啓祐君が通っていた三輪中学校には籍が無くなっているため、卒業証書は授与されなかった。展示会では遺影のそばに友人たちから贈られた「卒業証書」を並べた。

　母美加さん（３７）は「遺品や写真を見て、あらためて啓祐がいないことを実感する」と語る。

　会場を訪れた福岡市中央区の団体職員、嶽村久美子さん（５８）は「こんなにも家族に愛されて育った啓祐君が命を絶ち、守ってあげられなかったことに大人の責任を感じる」と話した。

＝2008/04/03付 西日本新聞夕刊＝