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「苦しまずに死ねる」ネットに情報氾濫 相次ぐ硫化水素自殺 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:ネット社会
複数の洗剤や入浴剤などを混ぜて有毒な硫化水素を発生させ、中毒死する自殺が相次いでいる。「苦しまずに死ねる」−。インターネット上にはこうした文言とともに具体的な方法が紹介され、今年に入ってからだけでも、10人以上が自殺した。東京都内で自殺未遂をした男性も「ネットで自殺方法を調べた」と話しているという。有毒ガスが外部に漏れ出すなどして、家族や近隣住民らが巻き込まれるケースもあり、専門家は「危険な方法」と警鐘を鳴らしている。(高久清史)
■激しい頭痛
「硫黄みたいなにおい。何かしら?」
2月18日朝、東京都渋谷区の3階建てアパート。3階に住むアパート所有者の女性は激しい頭痛で目が覚め、異臭に気付いた。のどに走る痛み。異臭は下の階から漂ってきていた。
応答のない1階の鍵を開け、警察官らと部屋に入った。「濃密な異臭がもわっと飛び出してきた」。居間では男性(27)がソファで倒れ、床に複数の鍋が置かれていた。洗剤などの容器も散乱していた。有毒ガスだと確信したとき、隣の警察官が叫んだ。「すぐに出てください」
警視庁渋谷署によると、男性は硫化水素を発生させて自殺を図っていた。女性は3階に駆け上がり、異臭に泣き声を上げる生後4カ月の長男と、1歳の長女を連れて逃げ出した。3人は軽症だったが、女性は「生まれてきたばかりの子供を巻き込み、小さな肺に有毒ガスを吸わせた」と憤る。
約2週間後、一命を取り留めた男性が謝罪に訪れ、自殺未遂の様子を説明したという。
「確実に死ねるようきっちりと洗剤を計量し、バスルームで調合した。方法はインターネットで調べた」