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「内部の本当の苦しみを伝えたい」 北朝鮮在住記者取材の雑誌が創刊

2008/4/ 3      このエントリーを含むはてなブックマーク はてなRSSに追加 この記事をBuzzurlにブックマークする この記事をクリップ!   Yahoo!ブックマークに登録   コメント(2)  

   北朝鮮在住のジャーナリストが同国内で取材した内容をまとめた雑誌「リムジンガン」日本語版が2008年4月3日発売され、その出版記念会見が同日、東京・有楽町の外国特派員協会で開かれた。北朝鮮在住の記者が平壌の裏通りにある市場で撮影したというビデオが上映され、出版社側では、「地方都市の市場を捉えた映像はこれまでにもあったが、平壌の裏通りの市場の映像は世界初なのでは」とアピールしていた。

   会見には、同誌発行元「アジアプレス」大阪事務所代表の石丸次郎さんなどが出席。石丸さんは、1993年から中朝国境での取材を行っており、脱北者取材の第一人者としても知られる。03年、石丸さんが脱北者の男性に、中国国内でビデオとPCの使い方を教え、脱北者は北朝鮮に密かに帰国。「北朝鮮の内情を南側や世界に伝えたい」というこの男性は、後輩記者を北朝鮮国内で養成するなどして、現在は同国内に6人の記者と、取材テープを中国に持ち出すなどの輸送担当協力者が5~6人程度存在するという。

厚底ブーツをはいた女子学生などの姿も掲載

石丸さんは「北朝鮮にも、外部のトレンドが入り込んでいる」と話す
石丸さんは「北朝鮮にも、外部のトレンドが入り込んでいる」と話す

   誌面では、国内で隠し撮りされたビデオからの写真が多数掲載されている。例えば07年夏に撮影された平壌の裏通りにある市場の写真では、活発に物資の売買が行われている様子が写っており、厚底ブーツをはいた女子学生などの姿や、同国東海岸でしか取れないサンマが売られていることも確認できる。石丸さんは、

「北朝鮮にも、外部のトレンドが入り込んでいたり、流通のネットワークが形成されている」

と、市場経済の流れが進みつつあることを強調していた。

   石丸さんは

「『今のまま(の取材をしない状態)では、北朝鮮の人がどのように苦しんだかが残らない』という共通認識を持っています。記者自身、取材が危険だということはよく理解しています。取材しようという意志が有る限り、サポートを続けていきます。記者の数が増えて、企画の提案などのリクエストに対応し切れていないのが課題です」

と話している。

   同誌は07年11月には韓国語版が創刊されており、08年6月には英語版の創刊を目指す。韓国語版は隔月刊で、日本語版と英語版は季刊。日本語版は初版3000部で、「アジアプレス」ウェブサイト経由で購入する。価格は2980円。

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