「医療事故調」案を公表 届出義務範囲は狭まる 厚労省2008年04月04日 厚生労働省は3日、医療事故の死因調査にあたる第三者機関「医療安全調査委員会(仮称)」の設置法案提出を目指し、試案を公表した。医療機関への立ち入り検査の権限を明記し、カルテ提出も指示する。警察への通知は重大な過失など「悪質なケース」に限り、医療界の反発にも配慮した。
調査委の設立議論は、事故の真相究明や刑事手続きの回避などを目的に始まったが、試案では、公平な刑事手続きに道筋ができる一方、医療機関に届け出が義務づけられる事故範囲が昨秋の原案より狭くなるなど、医師側の主張を反映。調査で関係者からの聴取は強制できないなど、実効性に疑問が残っている。民主党は試案に反対の姿勢で、法案の行方も不透明だ。 中央に設置する調査委は国の機関。医療機関や遺族から届け出があった「医療事故死」について、解剖や診療記録の調査などで事故原因を明らかにし、再発防止を図る。 調査は、地方ブロック単位の地方委員会で実施。医療機関や遺族から「事故死」の届け出があれば、医師や法律家、患者の立場を代表する有識者らで構成する地方委内に調査チームを結成。解剖や診療記録、関係者聴取などを通じて原因を調べる。 調査結果は当事者に渡すほか患者名などをふせて公表し再発防止に生かす。 医療機関に対して届け出を義務づける範囲は、(1)医療ミスが明らかで、治療が原因で患者が死亡した(2)治療行為が原因で患者が予期せず死亡――と規定。死因に不審な点がある「異状死」をめぐっては、警察への通報を義務づけている現行の医師法を改め、調査委に届け出た場合は、医療機関から警察への届け出は必要なしとする。 試案は「責任追及が目的ではない」と明記。調査委が警察に通知するのは(1)故意や重大な過失(2)事故を繰り返す医師(3)カルテの改ざんや隠匿など悪質なケースに限定。捜査当局が行う刑事手続きについては「委員会の専門的な判断が尊重される」とした。 調査委設立に合わせて医療法も改正。医療機関の組織的な過失に対する行政処分を新たに設ける。医師や看護師個人の処分が必要と判断した場合は再教育を軸に検討する。 政府は今国会への提案をめざすが、法が成立しても、調査委発足まで2年以上かかる見通しだ。 健康
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