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朝鮮王朝儀典書、韓国が返還要求へ 宮内庁が所蔵

2008年04月03日22時27分

 【ソウル=牧野愛博】日韓両政府は、4日に東京で開く外相会談で、日本の宮内庁が所蔵する朝鮮王朝の儀典書「朝鮮王室儀軌」の返還問題を取り上げる方向で最終調整に入った。日本側に法的な返還義務はないが、韓国側は李明博(イ・ミョンバク)政権発足で好転した日韓関係の象徴として例外的な扱いを求めたい考えだ。

 儀軌は15〜19世紀に朝鮮王朝の祭礼や行事の作法などを記した書物。現存では1600年に記されたのが最古で、朝鮮総督府が1922年、宮内省(現宮内庁)に移したとされる。日韓両政府は65年に文化財・文化協力協定を結び、韓国に由来がある国有文化財約1300点を引き渡し済み。このため、韓国政府は民間主体の返還運動に関与しない姿勢をとってきた。

 しかし、昨秋の福田政権発足に続き、昨年末には「韓日関係の改善」を掲げる李明博氏が大統領に当選。韓国側は「首脳会談などをきっかけに、友好関係の象徴にできる」として、公式に返還を求める方針に転換した。

 関係者によると、すでに1月にソウルで開かれた次官級戦略対話のなかで、趙重杓(チョ・ジュンピョ)・第1外務次官(当時)が日本側に返還を打診。谷内正太郎外務次官(同)が「解決すべき課題の一つとして処理する」と回答している。

 2日には、民間でつくる朝鮮王室儀軌返還委員会が福田首相あてに返還を求める陳情書を送った。韓国内では、今秋に予定される日韓首脳会談での返還実現を期待する声も上がっている。

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