1574グラム乳児の心臓手術成功 三重大2008年04月03日 肺で酸素を取り込んだ血液が全身に回らない「総肺静脈還流異常」という病気にかかった体重1574グラムの乳児の治療手術に、三重大胸部心臓血管外科チームが成功したと3日、執刀した新保秀人教授(54)が発表した。この乳児の心臓は栗の実ほどの大きさで、同大は「複数個所に異常がある『混合型』で体重2千グラム以下の成功例はめずらしい」としている。今夏の学会で報告するという。 この病気は、肺静脈が全身へ血液を送る心臓の左心房へつながらず、全身から心臓に戻る大静脈と合流してしまうため、全身へ酸素が回らず、呼吸不全や心不全などを引き起こす。新生児の約10万人に1人にこの病気があり、肺静脈を左心房へつなぐ手術以外に治療法はないという。 今回手術した乳児は、三重県内で2月14日に自然分娩(ぶんべん)で生まれた女の子で、直後に心不全で同大病院の新生児集中治療室(NICU)に運ばれた。出産時1802グラムの低体重で、大静脈への異常な合流が3カ所にある「混合型」という症例だった。人工呼吸器につないで管理してきたが、低酸素の兆候が見られ、3月10日に手術した。手術時の体重は治療の影響などで出産時より減って1574グラムだったという。 執刀した新保教授は「栗の実程度の大きさの心臓に、直径3ミリの血管をつなぐ繊細な手術だった。低体重で人工心肺使用による影響も心配されたが、術後の経過もいい」と話す。乳児は口からミルクを飲める状態まで回復しているという。 同大によると、この病気の手術では12%が死亡しているとの統計があり、混合型の死亡率はさらに高まるという。新保教授は「手術時間は4時間。人工心肺使用時間が94分と短くスムーズに運んだことがよかったのだろう」と分析した。 この記事の関連情報健康
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