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HOT OFF THE GRIDIRON #115
「リッキー・ウィリアムズの引退はドルフィンズを茫然とさせました。」

リッキー・ウィリアムスの突然の引退は、ドルフィンズのみならずNFL全体に衝撃を与えた
 5年前、NFLのトレーニングキャンプ開始と同時に、RBバリー・サンダースがデトロイト・ライオンズに送ったFAXはNFLを茫然とさせました。そのFAXには引退すると書かれており、その後すぐに彼はヨーロッパでの休暇に旅立ちました。先週マイアミ・ドルフィンズのリッキー・ウィリアムズはヘッドコーチのデイヴ・ウォンステッドにハワイから引退すると電話をして、東京に向かう飛行機に乗り込みました。ウィリアムズの突然の引退は1999年のバリー・サンダースの様にチームを茫然とさせ、重要なランニングバックのポジションに大きな穴をあけました。

 バリー・サンダースでさえ、ウィリアムズの引退に驚き、「私も皆さんと同様に驚きました。私にとってさえ、それは奇妙なことに思えます」と述べました。リッキー・ウィリアムズはニューオリンズ・セインツからトレードでドルフィンズに来て、この2年間で775回のキャリーで3,225ヤードを走り、NFL記録を樹立しました。ウィリアムズがNFLでプレーした5年間の通算記録は、5年間の記録としてはNFL歴代第3位(獲得ヤード、キャリー)となっています。

 リッキー・ウィリアムズはドルフィンズの春のミニキャンプと練習の全てに参加し、素晴らしいコンディションでした。当然、今年もウィリアムズをオフェンスの要にしようと考えていたドルフィンズにとって、彼の突然の引退は相当ショックでした。フリーエージェントのRBエディー・ジョージ(タイタンズからカウボーイズへ)、RBアントワン・スミス(ペイトリオッツからタイタンズへ)らは、ウィリアムズが引退を表明する前にすでに他チームと契約しており、ウォンステッドがウィリアムズの代わりを見つける可能性はほとんど残っていません。RBコリー・ディロンがベンガルズを去りペイトリオッツに移るトレードは4月には終わっていました。
 この時期に及んでは、ライオンズのジェームス・スチュアート、レッドスキンズのトラング・キャニデイトぐらいしか残っていません。そして2人ともけがに悩まされており、ドルフィンズが欲しい選手ではありません。スチュアートは33歳で最盛期を過ぎ、昨シーズンは全試合プレーしませんでした。

 バリー・サンダースが1999年にライオンズを去ってからRBグレッグ・ヒルをトレードで獲得しましたが、1998年のサンダースの記録には遠く及ばず、949ヤードも少ない542ヤードしか走ることができませんでした。結果的に、ライオンズは8勝8敗に終わりました。
 ドラフトはされませんでしたが、アイオワ大学出身の新人RBフレッド・ラッセルがリッキー・ウィリアムズのロッカーを使うことになりました。ラッセルは小柄(178cm、93kg)ながら俊足で、トレーニングキャンプではなかなかのプレーをしてみせ、注目されてきています。
 4年目のRBトラヴィス・マイナーは昨シーズン、41回のキャリーで、193ヤード(4.7ヤード/キャリー)、1TDを記録しており、活躍が期待されます。ドルフィンズはまた、ベテランRBステイシー・マックとテリー・カービーもチェックしています。
 もしドルフィンズが期待しているランニングバックが期待はずれで、どうしようもない状態に陥れば、ランニングバックを獲得するために、チームに不満のあるDEアデワーレ・オグンリエを放出するでしょう。

バリー・サンダースも全盛期に突然NFLを後にした
 ウォンステッドの状況は、リッキー・ウィリアムズを失ったという点では主力選手のけがの状況に似ていますが、引退発表のタイミングにより不安にさせられた点では、1999年のライオンズのヘッドコーチ ボビー・ロスに似ています。

 ハイズマン賞を受賞し2人のRBサンダース(オクラホマ州立大学;1988年)とウィリアムズ(テキサス大学;1998年)の引退の性格は似ていますが、その理由はまったく違うものです。
 寡黙なバリー・サンダースはスポットライトを嫌い、彼はただ、勝つためのフットボールをプレーしたいだけでした。今週、オハイオ州カントンで行われる式典でNFL殿堂入りをすることになっているサンダースは、NFL史上最も強烈なランニングバックでした。その当時、彼は、NFL通算獲得ヤード歴代第1位のウォルター・ペイトンの記録まで、あと1,458ヤードに迫っていました。デトロイト・ライオンズとNFLは、彼がフットボールから引退する前の1999年シーズンにその記録を達成するだろうと思っていました。バリー・サンダースは10シーズン連続で 1,000ヤードを達成したNFL史上唯一の選手でした。しかし、ライオンズは、9勝7敗で出場した1997プレーオフでは第1ラウンドで敗退、1998シーズンは5勝11敗という成績しか残せず、サンダースは疲れきってしまいました。このとき、NFLでプレーして10シーズンが過ぎようとしていました。
 サンダースが引退したシーズンには、ライオンズはワイルドカード(8勝8敗)でプレーオフに出場しましたが、それ以来一度もプレーオフに進出していません。

一方、リッキー・ウィリアムズが引退した主な理由はドラッグでした。ウィリアムズがマリファナを吸うことは、昔から知られていました。
 彼が引退を表明する数日前、ウィリアムズはNFLからドラッグテストをパスできなかったこと(3度目)を知らされました。彼がチームに残るとしても、いずれNFLに戻るとしても、4試合の出場停止となります。
 ウィリアムズは「薬物検査に落ちたから引退したのではなく、フットボールから卒業する準備ができたから、薬物検査をパスしなったのです。」と答えました。2003年5月にも薬物検査に落ち(ドルフィンズに移籍してから2度目)、NFLに 65万ドルの罰金を払っています。薬物検査で陽性反応が出ないようにするために、ウィリアムズは “エクストラ・クリーン” と呼ばれる方法を2年間、取り入れていました。しかし、それを止めた途端、マリファナの検査で陽性反応が出ました。これに対し、ウィリアムズは反論しましたが、NBAやMLBよりも厳格な薬物基準をもつNFLはこれを受け入れませんでした。

 ウィリアムズの妹は、「リッキーはNFLの薬物検査にいつも恐れを感じ、苛まれていました。ですから、彼は全盛期に引退し、27歳でライフスタイルをかえることを決心したのです」と、説明する。

 ウィリアムズは今、バリー・サンダース、有名なクリーブランド・ブラウンズのジム・ブラウンとともに、全盛期で引退したランニングバッグの仲間入りをしました。
 ブラウンは、NFLに在籍していた9シーズンのうち8シーズンで、NFLトップのランニングバックとして活躍し、5.22ヤード/キャリーという記録を残しました。そして、1966年、映画俳優になるという理由で引退しました。
 元シカゴベアーズのRBゲイル・セイヤーズは1965年の新人シーズンに 22TDというNFL記録をつくり、1972年はじめ、ウィリアムズやサンダース、ブラウンとは違って、まったく健全な理由(膝のけが)で引退しました。
 元ミネソタ・ヴァイキングズのRBロバート・スミスは、プロボウルに出場経験のあるランニングバックで、28歳という全盛期で引退しました。

 バリー・サンダースは、試合直後の引退発表という形をとったため、メディアに強烈に批判されました。しかし、最近ではその批判もされることはなくなりました。今週末、36歳のバリー・サンダースはNFL殿堂入りを果たしますが、それに対する異論はなく、彼はその場に登場します。
ゲイル・セイヤーズは34歳という史上最年少の若さで殿堂入りしました。ジム・ブラウンは35歳で殿堂入りしました。
NFL殿堂に入るための資格を得るには、NFLを引退してから5年以上経過していなければなりません。
リッキー・ウィリアムズは32歳になったときに、その資格が生じることも考えられますが、彼がマリファナをやめていなければ、それは無理でしょう。

 ウィリアムズのNFLキャリアは荒々しいものでした。
 ニューオリンズ・セインツは、ウィリアムズにフィールド外での問題があったために、トレードすることにしました。わずか27歳のウィリアムズは、今度は契約違反をしたことで、ドルフィンズに莫大な違約金を支払わなければならない可能性があります。
 ウィリアムズはマリファナを吸うことをやめるべきです。またそれができるはずです。そして、NFLに戻るべきだと思いますが、彼の経歴からするとそのチャンスはかなり少ないでしょう。
 ウィリアムズは、自分がNFLのスターだからといって特別扱いされることはなく、人々は法律に基づき判断するということ、自分が好むと好まざるとにかかわらず、いつもスポットライトを浴びているということを学ぶ必要がありました。

 ウィリアムズが改心し、フットボール界に戻ってきたとしても、NFL殿堂入りすることは難しいでしょう。
 バリー・サンダースのような引退の仕方ですが、サンダースには10年のプレー経験がありました。それに対して、5年の経験しかないリッキー・ウィリアムズが、NFL殿堂入りのできるランニングバックとして認められる可能性は少ないでしょう。

SEE YOU NEXT TIME!
Bill Marklevits

back number
#115 「リッキー・ウィリアムズの引退はドルフィンズを茫然とさせました。」
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