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銃刀法改正案:ストーカー、銃所持制限 欠格事由拡大、DV加害者も

 警察庁は3日、銃刀法を改正し、猟銃など(散弾銃、ライフル、空気銃)の所持を許可しない欠格事由に、これまでの銃刀剣類による凶悪事件を起こした者などに加え、ストーカーや配偶者らへのドメスティックバイオレンス(DV)を行った者も含める方針を固めた。次期国会への改正案提出をめざす。長崎県佐世保市で昨年起きた散弾銃乱射事件を受け銃許可行政を見直し改正が必要と判断した。

 銃許認可の大幅な見直しは、大阪市の旧三菱銀行北畠支店で79年に起きた猟銃所持の男による人質立てこもり事件を受け、銃刀剣類による凶悪事件を起こした者を欠格事由にした80年の改正以来。

 同庁によると、現行の銃刀法は銃刀剣類を使って殺人、強盗などの凶悪事件を起こした者は銃所持を認めないが、ストーカーや配偶者暴力などの犯罪については所持を認める。このため、▽元妻に対しストーカー行為があった58歳の男が散弾銃で元妻を負傷させた事件(06年11月、熊本県)▽他人を殴って傷害事件を起こした41歳の男が所持を許可された散弾銃で男性を殺害(05年10月、愛知県)--などが起きていた。

 改正案では、ストーカーや配偶者暴力、銃刀剣を使わなくても殺人、強盗など一定の凶悪犯罪を行った者などは所持を認めないことを検討する。許可取り消しを受けての失効期間は5年だが、10年に見直す。

 佐世保市の事件では自殺した容疑者が多額の負債を抱えて生活に行き詰まったことが影響した可能性があり、経済的に破綻(はたん)している者や自殺のおそれのある者も所持を認めない方向で検討する。

 このほか、銃所持が適格かどうかを警察が身辺調査する権限を法律に明記し、調査中は警察が銃を預かる。所持許可を求める人に必要に応じて精神科の専門医による診断を命じたり、高齢者に認知症検査を行うことも検討する。銃の保管は、業者による一括保管も検討したが、十分な保管場所が確保できないことなどから見送った。【遠山和彦】

 ◇自主返納8636丁--一斉点検

 長崎県佐世保市で昨年12月に起きた散弾銃乱射事件を受け、全国の警察が実施している猟銃などの所持者に対する一斉点検では、3月16日までに5652人が計8636丁の銃を自主返納した。このうち、ストーカーや配偶者への暴力を起こすなどしたため、警察が所持は危険と指導して自主返納させたケースは238人、384丁に上る。定められた場所に銃を保管しない銃刀法違反などが見つかった13件21丁については、所持許可を取り消した。一斉点検は、銃所持者約15万4000人、約31万9000丁が対象。入院など事情がある人を除き、99・7%の点検を終えた。

 警察の指導による自主返納の理由で最も多かったのは、▽許可の有効期間の3年近く銃を使用していないからが50件▽刑事事件の容疑者として検挙されたが41件▽配偶者への暴力が13件▽被害妄想的な言動で近所の人らとトラブルを抱えるが13件--などだった。【遠山和彦】

 ■猟銃などの所持の主な欠格事由■

 <現行>

・猟銃は20歳、空気銃は18歳に満たない者

・精神障害や認知症などの病気

・アルコールや麻薬、覚せい剤中毒者

・是非の判別能力がないか低い者

・住居の定まらない者

・許可を取り消された者

・銃刀法違反で罰金以上の刑を受けた者

・銃刀剣類を使用した凶悪な違法行為(殺人など)で罰金以上の刑を受けた者

・暴力団組員及び関係者(同居親族含む)

 <追加案>

・銃刀剣類を使用しない場合でも凶悪な違法行為(殺人など)を起こした者

・ストーカー行為を行った者

・配偶者らへの暴力を行った者

・自殺のおそれのある者

・経済的に破綻している者

毎日新聞 2008年4月3日 東京夕刊

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