南アルプスの登山道脇に立てるハングルも書かれた案内板
伊那市長谷総合支所は今年の登山シーズンに向け、南アルプス登山道の要所にハングルを併記した案内板3本を新設する。近年、韓国からの登山客が目立つため、老朽化した案内板を取り換えるのに合わせて表記する。南アの世界自然遺産登録を目指す市は、「国際化への対応が必要」と話している。
市の2007年度予算15万円で作った。いずれも漢字の上にローマ字、下にハングルを刻んである。3本のうち北沢峠への案内となる1本は既に、戸台川沿いの登山道入り口付近に設置した。駒ケ岳と仙水峠・双児山への道筋を示す2本は、5月に山小屋の準備に合わせヘリで荷上げして設置する。
北沢峠にある市営山小屋「長衛荘」によると、韓国や台湾の登山客は5、6年前から訪れている。昨年急増し、6−11月は計約30人だった。「これほど豊かな自然は見たことがない」と驚き、新たな仲間を含めて毎年のように足を運ぶ人もおり、地元は「南アの良さがアジアの人々に知られてきている。今後も増えるのでは」とみる。
こうした動きを受け、市営の山小屋など8軒でつくる「長谷山小屋組合」は、日本語だけだった各小屋を紹介するパンフレットを、部分的に英語や韓国語・朝鮮語など5カ国語に翻訳している。「テントは指定地に張る」「たき火はしないで」といったマナーを説明。同時に、「安全に登山を楽しんでほしい」と、遭難事故発生時は警察か救助隊に連絡することや、山岳保険への加入を促す。
伊那市長谷総合支所産業振興課は「国際的観光地に向け、韓国などからの登山者と一緒に楽しめるように、さらに受け皿づくりが必要だ」と話している。