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【コラム】

理系のための恋愛論

32 高級車が来たら、つい乗り換えてしまうの法則

2001/06/01

酒井冬雪

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ある結婚情報サービス会社の恋愛、結婚に関する意識調査で、おもしろいものがありました。

○もし、自分が現在つき合ってる恋人よりも、美人(ハンサム)で、高学歴で、高収入な人が好意をしめしてくれたら、恋人と別れてその人のところに走りますか?

という質問を、男性と女性に投げかけたわけなのですが、結果はどうでしたでしょう。男性の9割が「そんなことで目がくらんだりしない。今の彼女とつきあい続ける」と答えたのに対して、8割弱の女性が「今の彼と別れて次の人と付き合ってみる」と回答したのです。

この調査結果の話を知り合いの男性に、
「ねえ、どう思う?」と聞いてみると、
「オレだってどんなにいい女があらわれようと、今の彼女と別れたりしないよ」
といいながら、女性側の回答結果に驚き、言葉を失う。

女のコの知り合いにも聞いてみると、
「ああ、そうですよね。あたしも彼より条件いい人に言い寄られたら、絶対次にいっちゃうなあ」
と、わりと冷静にいってのける。

この女のコの心理を、わたしは「目の前に自分が乗っているよりも、いい(高級)車が来たら、つい乗り換えてしまうの法則」と名づけました。

では、彼女たちはどうして、架空の話の想像の上だけでも、いとも簡単に次に乗り換えられると言い切ってしまえるのか、そのあたりの理由を考えてみましょう。

第一に、女のコは「そんなに好きでもない男」とでも、フツウにつきあえる。彼に「ホントにオレが君を好きなのと同じくらい、自分を好いてくれてるんだろうか」という疑いを抱かせずにつき合うことができる。そんな特殊能力をもっているから。

なので、もっといい候補があらわれたら、そんなに好きではなかった彼はあっさり切り捨てることができるわけ。

この能力は、最初はそんなに好きでもなかった男性から誠実に積極的に言い寄られて、「こんなにあたしを想ってくれるなら」という理由から交際をはじめた女のコが、彼と長く付き合うほどに、おのずと身についてくる能力です。

ただし、この能力を自分で自覚している女のコは非常に少ない。彼女たちは、彼に対する気持ちを、
「まあね。つき合い長いと、『情』が湧いてきちゃって」と説明します。

しかし、わたしにいわせてもらえば、女性に『情』があったとしても、それを優先させるとは思えないのです。むしろ、男性のほうが『情』や責任感などにこだわる生き物のような気がする。

たとえば、女のコが男にフラれると泣いたり、荒れたりしますが、それでも一定の時間がすぎると、
「くそーっ、やせてキレイになって、仕事もバリバリやって…。そいで、あいつよりもっといい男をつかまえて、後悔させてやるぅ。今にみてらっしゃい」
と、がむしゃらにダイエットや合コンや仕事をはじめたりするものです。

それに比べて男子がフラれると、自分のプライドやメンツや意地がキズつけられたことを認められないやら、女は彼女しかいないと思っていた、その気持ちを忘れられないやらで、放っておくといつまでも、いつまでも、いつまでーも、ヘタすると1年も2年も落ちこんでいたりします。

もちろん、女のコでもたまに、
「あの人、あたしなしで今ごろどうやって生きてるのかしら」
などといって、情が深いところを周囲にアピールしつつ、自己憐憫にふける人はいますが、そういう女性は同性からあまり尊敬されません。
(男のコは情が深い=責任感が強い、誠実、=男として当たり前のこと、という意識が強そうで、未練たらしく情をひきずるのも「そういうもんだよなあ」とやさしく受け止められるのではなかろうか)。

やっぱり、女のコは「ホントにものすごく好き」な気持ちは大事にするけれど、そんなに好きでもない「情」の部分は早めに割り切ることが多いようです。

で、ですね。女性はどうして、自分がつき合っている男性のことを「そんなに好きでもない」などと思ったり(自覚はしていなくても)するのかというと、
「いつか必ず、あたしにとってたったひとりの大切な人があらわれるにちがいない」
と、けっこう本気で信じているからなのです。赤い糸とか、離れ離れになったふたりがひとつの玉になるとか、そういう伝説の類や「燃え上がる激しい恋」みたいなのを待っているからなのです。

これは、己の身の程をわきまえない人が陥りやすいワナともいえますが…。

なので、第二の理由は、女の子は今つき合ってる彼を、
「この男(ひと)が、あたしの運命の片割れ」
とはなかなか思えないから。
第一の理由と第二の理由は深くからみあっているのです。
たぶん、この理由も自分で自覚している女性は少ないのではないかと思われます。

そして第三の理由は、何だかんだいっても、ほとんどの女性が、
「自分の選んだ男によって、生活スタイルをガラリとかえなければならないことがある」ことにうっすら気付いているから。

極端な例ですが、わたしの知人の女性は某航空会社の国際線パイロットと結婚しました。彼が日本に(家に)いる時間は決まっています。彼女が会社の飲み会に出たり、友だちと遊びに出かけたりするのは、彼が日本にいないときに限られる。ある意味、彼女のスケジュールは、彼のフライトスケジュールによって決まるわけ。

彼女はあるとき、女友だちから、
「ねえ、あたしたちが飲みにいけるのって、ダンナさんがフライトで海外に行ってるときだけだね。っていうことは、あなただけじゃなくて、あたしのスケジュールもダンナさんのフライトスケジュールにあわせてるってことになるかも」
と冗談をいわれたこともあるそうです。

とまあ、このように自分の時間を彼の都合を聞いてから都合している女性はまだまだ多いはず。しかし、つき合う女性によって、自分の生活スタイルやスケジュールがガラリと変わる…という男性はまだまだ少ないのではないでしょうか。

女のコはいつも、自問しているのです。
「自分の生活スタイルをかえることになってもいいと思えるほど、彼を好きかしら」って。

というわけで、女性は(実行するしないは別にして)男性を乗り換える問題については、いつだってシビアに現実的に考えているものです。

だから、彼氏がいる女のコが、他の男の食事や映画程度の誘いに応じるのは、浮気ではなくて、乗り換える価値があるかどうか試しているともいえます。それだけのことで彼を嫌いになったり、誘ってくれた人を好きになったりしているわけではないのです。ただただ、自分の赤い糸の片割れではないか、自分と生活スタイルが似ている人かどうか、念のためさぐってみたいだけなのです。

このあたりの心の動きが、いわゆるいろんな女のコとセックスしてみたい好奇心でいっぱいの「男の浮気」とは違う部分といえます。もちろん、女のコだってちょこっとばかり「モテた自分」を確認することにヨロコビがないでもないんですけど。

酒井冬雪です。友だちの編集者さん(女性)にススメられ、岡田斗司夫さんの「フロン」(海拓舎)を読みました。うんうんうなずいたり、そうそうと納得したり、時には男性に対する自分のあいまいな態度に反省をしながら…。男性諸氏には衝撃の内容かもしれませんけど、ご一読をおススメします。

酒井冬雪
fuyukies@pc.mycom.co.jp

バックナンバーはこちら
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