株式相場が世界的に下落基調を辿っています。米国でサブプライムローン（信用度の低い借り手向け住宅ローン）問題の深刻化を背景に、金融システムへの不安が高まり、それが世界へ飛び火したことが最大の原因と考えられています。発信源の米国市場では、2月末までの過去3ヶ月間で、ダウ工業株30種平均指数は8.27％下落しました。もっとも、過去1年間では0.02％の下落にとどまっています。昨年10月まで上昇基調にあったことが「貯金」となった形です。これに対し、日本市場では、過去1年間におけるＴＯＰＩＸの下落率が24.45％に達しています。年金問題や政治不信、改正建築基準法施行に伴う混乱等が原因と考えられます。
こうした中、今のところは少数派かもしれませんが、日本株への投資を「逆張り」的な発想で検討し始めている投資家の方もいると思われます。そこで今回は、国内株式型ファンドについて投資のポイントを検討してみました。

《重要なコンセプト》

モーニングスターが評価対象としている追加型の株式投資信託2,487本のうち、純資産額が10億円以上の国内株式型ファンドを対象として、2月末までの過去1年間におけるトータルリターンのランキングを見ました。 トップは「京都　滋賀インデックスファンド」で、唯一プラスのパフォーマンスを上げています。このファンドは、京都府または滋賀県に本社や製造拠点を置く銘柄を主な組み入れ対象としており、コンセプトが明確です。この地域には、世界で活躍する電子部品・部材系の企業が多く立地しており、各社の事業分野でトップシェアを有する会社が多いのが特徴です。主な組み入れ銘柄は任天堂、京セラ、村田製作所などとなっています。 日本経済の先行きは確かに厳しいかもしれません。しかし、国内企業でも、収益基盤が広く海外に展開する企業であれば、利益成長も可能であると思われます。このファンドの良好なパフォーマンスは、そうしたことを表していると考えることができます。 第3位の「住信・中小型株式オープン」は、わが国上場株及び店頭株（現在のジャスダック市場）のうち､取得時において発行済株式総数が2億株未満の株式が主要投資対象としますが、「店頭株への投資は合計で35%以内」に抑えられています。住友信託グループのリサーチ力を結集した調査力が武器で、ミクシー、ディー・エヌ・エーなど、低迷する新興市場にありながら、成長が期待されている企業が組み入れられています。

《自らの相場観に基づく選択も》

第9位にランクインした「（業種別インデックスSF）K商社」は｢業種別インデックス･セレクト･ファンド｣の一つで、商社関連企業を投資対象としています。運用コンセプトというよりは、特定業種への投資判断がポイントになります。商社は、世界経済の拡大を背景に、ビジネスチャンスが拡大すれば利益成長につながりやすいのが特徴です。米国発の世界的な混乱が近いうちに克服されると予想している投資家であれば、投資対象としての魅力は大きいと思われます。

★国内型株式ファンドの1年リターン・ランキング

モーニングスター社