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かんさいeye:出産テーマにした映画、相次ぎ公開 考えさせられる日本の状況

 妊娠や出産などをテーマにした映画が春から初夏にかけて関西で相次いで公開される。といっても、各国の出産事情を描いたものから、10代の妊娠を明るく描いたものまで、さまざま。日本では産科医不足が問題になっているが、出産はそれぞれの国の文化や社会的状況を色濃く反映する。いずれも日本の現状と比較しながら、自分ならどうするか、考えてみてほしい作品だ。【大道寺峰子】

 ◇世界の出産事情は

 出産をストレートに取り上げているのが、5月3日からシネマート心斎橋で公開されるドキュメンタリー映画「プルミエール 私たちの出産」。フランス人のジル・ド・メストル監督が、世界10カ国で出産を迎える女性たちの姿を丹念に映し出す。メキシコで助産師がイルカと一緒に水中出産を行う様子▽アメリカでの医師や助産師の立ち会わない「フリー出産」▽出産数の多さで世界でもトップクラスのベトナムの大病院の様子、など改めて日本との違いに驚かされる。

 ◇病気でないが危険も

 「産ましてもらうより、産むお産を」をテーマにユニークな活動を展開している佐野病院ばーすセンター(神戸市垂水区)の三浦徹医師は、作品を見て「自然や生命のすばらしさが伝わってくる」と感想を話す。

 同センターは97年、妊婦主体の出産を目指し、助産師による「助産科」を全国に先駆けて設立。水中出産など妊婦の希望に応えてきた。こうした取り組みは産科医師不足の解消策の一つとしても、注目が高まっている。

 三浦医師は「出産は病気ではない一方で、100%の生命の保証もあり得ない」と指摘。分娩(ぶんべん)までほとんど健診に来ない「飛び込み出産」の増加について、「こうしたリスクを考えず、『産ましてくれる』という意識が強くなっている表れ」と言う。「映画のように『自然』としての出産の大切さを改めて考え直してほしい」と付け加える。

 そのほか、公開中の「4ケ月、3週と2日」は07年カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた作品。80年代のルーマニアで、主人公の女子大生は友人の違法中絶を手助けする。

 また6月公開の「Juno」は高校生の妊娠を明るく描き、アカデミー賞脚本賞を受賞した。

 ◇語り合うきっかけに

 ライフワークとして10代向け性教育講座を開いているタレントの亀山房代さんは「関西では性教育について比較的オープンに語れる気がする」としたうえで、「自分を大切にしてほしいからこそ、親子や友人らと語り合うことは大切。映画などは良いきっかけになる」と話している。

毎日新聞 2008年4月3日 大阪夕刊

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