【富山】モンスターペアレント“増殖中” 理不尽な苦情毅然と対応を2008年4月3日
富山市 保育所向け事例集子どもが通う学校や保育所、幼稚園に理不尽な苦情を突き付ける「モンスターペアレント」。富山市は市内で実際にあったクレームを「保育所クレーム対応事例集」としてまとめ、八十七の公私立保育所・園と幼稚園すべてに配布した。紹介されている十八の事例一つ一つに、今時の親の不可思議な“常識”が浮かび上がった。 (林啓太) 目には目を思い込みで日ごろ保育所に不満をぶつける母親が「保育士が子どもの首をチョップでたたいた」と訴えた。保育所の調べでは事実無根。ところが数日後、母親は「子どもがされたことをしてやる」と保育士に暴行し、保育士が刑事告訴する事態に。母親は検察官の調べで反省し、不起訴処分となった。 ブランド水筒?遠足の出発前、ある子の水筒に名前がないのに気付いた保育士が、フェルトペンで名前を書いた。その翌日に「水筒はブランド品。ネットオークションにかけたかった。弁償しろ」と親からの苦情。入所時に通知した所持品のすべてに記名する決まりを再度、説明しても「うちの子は自分の物が分かる。記名は必要ない」の一点張り。 並び順不満保育士が撮影した、節分のお面を持った子どものスナップ写真。クラスで一番背の高い子と並んだ子の母親が、市役所に訴えた。「わが子は背が低いのを気にしている。子どもを並べる時の配慮に欠けるのではないか」 ◇ ◇ 市が二〇〇六年度に受けた保育所児の保護者の相談は五十六件。件数に目立った増加はないが、相談内容に理不尽なものが増えてきているという。 市は「保育士との意思疎通が不十分なのに加え、家庭生活の不満や“わが子だけ”の過剰な思いが背景にある」と分析。「おかしな要求には毅然(きぜん)と対応するとともに、保育士が親の悩みごとを聞くなどして信頼関係の構築にも努めたい」としている。
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