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春はリッツでスイーツを

全財産はたいて2万円コースを食べてみた

藤倉 善郎(2008-04-03 13:15)
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 東京・赤坂の東京ミッドタウン内にある5つ星ホテル「ザ・リッツ・カールトン東京」。45階のロビーラウンジには、毎月1回のみ提供される超高級アフタヌーンティーのコースがある。2007年9月から始まった「ホワイトティー エクスペリエンス」だ。

 料金は、なんと1万8888円(別途サービス料10%)。果たしてその中身は、いかほどのものか。清水の舞台ならぬミッドタウン・タワーの屋上から飛び降りるつもりで、全財産をはたいて2万円のアフタヌーンティーに挑戦してみた。
うやうやしくホワイトティーを入れるスタッフ=3月28日、東京・赤坂で(撮影:吉川忠行)
「全財産」リターンズ

 3月28日午後2時、リッツ前に集合したメンバーは4人。記者(藤倉)のほか、B級グルメ評論で定評の高いライターの北澤強機記者、OMN編集部の吉川忠行記者、身分不詳のD嬢だ。彼女は、かつて藤倉が全財産をはたいてロシアのシベリア鉄道に乗った際に同行した、「全財産シリーズ第1弾」の生き証人である。

 月末の原稿料振り込み直前の時期とはいえ、さすがに2万円では記者の全財産はぎりぎりなくならない。そこで記者は、北澤記者におごることにした。4万円なら瞬間的にはほぼ全財産がなくなる。もちろん、参加者全員が編集部に経費を請求しないのが「全財産シリーズ」の鉄の掟だ。

このホワイトティーがすごい!

 45階に着くと、生演奏中のピアノとバイオリンのすぐ前の席に通された。手前に赤坂方面のビル群、彼方には皇居まで望める、絶景の窓際の席だ。

白い産毛に包まれたホワイトティーの茶葉(撮影:藤倉善郎)
 ホワイトティーは、年に一度、収穫シーズン(初夏)の最後の時期に若い芽だけを摘み上げた茶葉から作られる。産毛が生えているために茶葉が白く見えることが、名の由来だ。

「インドのダージリン地方の農場に委託して作ってもらっているもので、世界のリッツの中でもここでしか提供していない銘柄です。昨年9月から月に一度だけ提供していますが、茶葉の量が限られているので、なくなり次第終了です」(スタッフ)

 とにかくすごいホワイトティーなのだ。

鍵つき木箱に入った高級茶

 シャンパン(北澤記者はオレンジジュース)で歓談していると、ドラの音ともに、白い着物の女性が小さな木箱をうやうやしく両手で掲げながら現れた。客のテーブルの間を通り抜けて、木箱を卓の上に置いて鍵を開ける。中には、ホワイトティーの茶葉。それを取り出し、ポットに湯を注ぐ。

ホワイトティーは、色は薄いが味と香りはしっかり楽しめる(撮影:藤倉善郎)
 程なくテーブルには、背の高い湯飲みのようなカップに注がれたホワイトティーに、浅めの空のカップが隣に添えられて出てきた。

「ホワイトティーを浅いカップに移して、空になった方のカップで香りを楽しんでから、お召し上がりください」(スタッフ)

 ジャスミンにも似た甘い香り。お茶の色は薄いが、味はしっかり感じられ、ほんのり甘みがある。舌の感度は人並み以下の記者でも、その美味さはよくわかった。

カップの中の「英露戦争」

 「産毛の若葉を摘んだホワイトティーって、要するにお茶の童貞ですよ。北澤記者、なんか面白いこと言ってください」(藤倉)

ホワイトティーにジャムを放り込んだ北澤記者も最初のひと口はストレートで(撮影:藤倉善郎)
「懐かしい味ですね。たとえるなら、そう、ぼくが生まれたばかりのときに飲んだお母さんの母乳のような……」(北澤記者)

 そして北澤記者は、おもむろにホワイトティーにジャムを投入! 言うまでもなくアフタヌーンティーは英国スタイル。ジャム入り紅茶は、俗に言うロシアンティーだ。

「ズトラーストヴィーチェ!(こんにちは=ロシア語)」(D嬢)

「スパシーバ! ハラショー!(ありがとう・素晴らしい=ロシア語)」(藤倉)

 紅茶をめぐる「英露戦争」ぼっ発に理性を失う2人。北澤記者はさらに、「ミルク入れてもいいですか?」とスタッフに言い放ったが、たまりかねた吉川記者に制止された。

豪華なフードが続々、スイーツだけで20品近く

アフタヌーンティーと言えば、この三段重ねスタンド(撮影:藤倉善郎)
 続いて登場した三段重ねのティースタンドには、キャビアが乗ったサーモンのムースやフォアグラのコンフィなど、16種類のフードが。濃厚な味やさっぱり味のものが組み合わさって、一つ一つは小さいが決して物足りなくならない。

 その後も、前沢牛のローストやトリュフのミルフィーユなどのパーティーフードが続々。これだけでかなり満腹に近づいてきたが、品数としてはまだ前半戦だ。

 真打ちのデザートは、スコーン、ケーキ、プリン、ゼリーなど、少なくとも計17品。実際にはもっとあったかもしれない。スタッフが何度かに分けて運んできては、チョイスするように求めてくる。貧乏性の記者たちが全部食べたくてもじもじしていると、スタッフが助け舟を出してくれた。

「すべておひとつずつお取りいたしましょうか?」

「はいっ!!」(一同)
20品近く登場したスイーツの一部。もちろん全品に手を出した(撮影:吉川忠行)
 この繰り返しで、結局、記者たちは全品に手を出した。とろりとしたチョコレート、酸味のあるクリーム、さわやかなフルーツゼリーといったバリエーションは、満腹でも飽きはこない。途中から完食をあきらめたD嬢と藤倉も、全品を少しずつ味わってから北澤記者にバトンタッチ。チームプレーによって、大半を無駄なく平らげた。

これだけは聞いてみたかった

 最後に北澤記者がスタッフに軽く質問。

──これはデザートですか? スイーツですか?

「スイーツです。パティシエが作ったお菓子を指す言葉で、イギリスでは、食後のお菓子もスイーツと呼びます」

──えっ? じゃあ、デザートって何ですか? 砂漠ですか?

「desert(砂漠)とdessert(デザート)は違います。デザートの定義はよくわかりませんが、果物などはスイーツには含まないと思いますが……」

 リッツ東京のウェブサイトでは、最後のスイーツを「デザート」と表記しているが、アフタヌーンティーの本場イギリスでは、デザートもスイーツと呼ぶようだ。

 ホテルを出たのは夕方6時近く。文字通り、時が経つのを忘れてしまうほど料理の質・量ともに充実していた。ラウンジの優雅な雰囲気も申し分ない。料金は高いが、これなら大満足だ。

 記者のカネでたんまり飲み食いした北澤記者も、ご満悦。ところが、

「甘いもの食べたら、ラーメン食いたくなりました」

 そう言い残し、一人で六本木の街に消えていった。次にリッツに行ける機会があったら、男じゃなくて女性を誘ってみようか。

  ◇

「ホワイトティー エクスペリエンス」(1万8888円)は、毎月最終木曜日の午後のみ開催。通常メニューとしては、「ヘブンリー・ティータイム」(4300円)、「ザ・リッツ・カールトン アフタヌーンティー」(8900円)といったセットも。

ザ・リッツ・カールトン東京
住所:東京都港区赤坂9-7-1 東京ミッドタウン
TEL:0120-798-688(平日午前10時~午後9時、土日祝午前10時~午後5時)

【適時開示情報】

  藤倉は、リッツ東京のスタッフに以前から知り合いがいました。「ホワイトティー エクスペリエンス」に行った後日、スタッフとデートしました。そこで、リッツ1階のカフェデリで販売されているホワイトティーの茶葉をプレゼントされました。とても嬉しかったです。今度、お礼をしたいです。

 しかしこの記事は広告記事ではありません。スタッフは記事の掲載の過程に一切関わっておらず、藤倉は、プレゼントをもらった際、スタッフに名古屋土産の「御福」を渡し、酒をおごりました。個人的な付き合いの中での相互プレゼントであり、不適切な利益供与ではありません。記者は、記事にとくだんの手心も加えていません。

 最近、ごく一部の読者の中に、オーマイニュースの記事に不必要なほど背景の開示を求める声があったため、試しに記者とリッツとの関係を説明してみました。こうした説明が、記事の公正さを保つ上でまったく無意味であり、むしろ記事の楽しさを損なう興ざめな行為であることを、みなさんに知っていただければ幸いです。


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