青森市の県立中央病院は4月から、医師不足の黒石病院、八戸市民病院、むつ総合病院に週1回程度、非常勤医を派遣することになった。県病が他の公立病院へ定期的に医師を派遣するのは初の試み。新臨床研修制度などを背景に、従来からの医師供給機関である弘前大学医学部も医師確保に苦慮する中、弘大の役割を補い、公立病院が支え合う取り組みとして期待される。

 県病は今年2月から、都道府県がん拠点病院に指定され、地域がん拠点病院を支援することが義務付けられている。その中で、地域がん拠点病院のむつ総合病院をはじめ、医師不足の黒石病院、八戸市民病院からも要請を受けていたことから派遣を決めた。
 県病も必ずしも医師数が潤沢でない事情があり、派遣を要請した各病院の事情や県の医療計画を踏まえて派遣の可否を見極めるため、3月に院内の医師派遣検討委員会(委員長・藤野安弘副院長)を設置して協議し、3病院への派遣を決めた。
 黒石病院に神経内科医、八戸市民病院に心臓血管外科医、むつ総合病院には腫瘍放射線科医を派遣する。3病院とは、4月1日付で診療応援協定書を取り交わしている。派遣期間はいずれも1年間としているが、各病院の状況変化によっては協議の上、期間を延長、短縮できるとした。
 県病の吉田茂昭院長は、非常勤医派遣の取り組みについて「県と政策ベースでよく協議しながら、県病としてできる範囲で応えていきたい」と語った。
 県医療薬務課では「県病としては大きな一歩だととらえている。弘大の役割を補う協力体制をさらに進める必要がある」とした。また、県病に総合診療部が設けられたことなどに絡み、「町村で必要とされる総合内科医らの派遣も将来的には視野に入れることができるのではないか」との期待感を示した。