【北京30日共同】北京の日本大使館の和田充広公使は二十九日、中国政府が手配した各国外交官によるチベット自治区ラサの視察から北京に戻った後、記者団に「中国側の主張は事実の中の一部で、説明していない部分がまだたくさんある」と指摘、中国政府に対して一段の透明性を求める考えを示した。
公使は「中国側は丁寧な対応だった」とする一方、暴動で襲撃されたラサ市内の学校を視察した際、襲撃の理由について納得のいく説明が得られなかったなどと語った。
公使によると、チベット自治区のシャンパプンツォク主席は視察に参加した各国外交官と二十八日に会談。抗議運動の取り締まりについて「公の場で国家分裂や独立を主張すること自体、中国では違法だ」と述べ、平和的なデモも処罰対象になるとの見解を示した。
主席は、大規模暴動が起きる前の今月十日にラサで起きたデモは非暴力デモだったことを事実上認めた上で、このデモでも複数の参加者を拘束した事実を確認したという。
各国外交官はラサで、暴動の際に負傷したという武装警察部隊の隊員とも面会。この隊員は「上から『自制しろ』との命令があり、何もできなかった」と語ったという。
視察は二十九日まで二日間行われ、日米欧などの外交官十五人が参加した。
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