富士吉田市立病院(江口英雄院長、病床数304床)は今月から、分娩(ぶんべん)1回につき産婦人科の医師に2万円、助産師に5000円の手当を支給する制度をスタートさせた。都留市立病院の分娩休止により取り扱いが増えるとして、医師らの待遇改善を目的に導入した。江口院長(65)は「県内では初めての試みで、全国的にみても少ないだろう」と話している。
同病院には現在、産科の常勤医師3人、助産師10人が勤務。毎月50件程度の分娩を取り扱っており、年間負担額は約1500万円を見込む。
全国的な産科医、助産師不足が問題となる中、上野原、大月、都留、富士北麓(ほくろく)地域でも、一昨年に民間医療機関が分娩の取り扱いを中止。出産できる医療機関は、富士吉田市立病院と山梨赤十字病院、都留市立病院だけとなったが、08年度から都留市立病院が麻酔科医師の不在から分娩休止に追い込まれた。
このため、富士北麓・東部地域での分娩が富士吉田市立病院などに集中するおそれが出てきたため、産科医師らの過重勤務を考慮。「持続的な勤務を可能にしよう」と手当支給に踏み切った。
江口院長は「病院の他の医局の理解は得ている。この地域の分娩医療を守るための措置だ」と話している。【田上昇】
毎日新聞 2008年4月3日 地方版