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インタビュー:円債700億円・外債400億円純増へ=朝日生命運用計画

2008年04月02日18時34分

 [東京 2日 ロイター] 朝日生命は2008年度の一般勘定資産の運用計画で、円債を前年度比700億円程度積み増すほか、外債を400億円程度純増させる方針を明らかにした。国内株式は横ばいにとどめる一方、海外ヘッジファンドへの投資を200億円増やす。

 今年度は「外債が収益ドライバーになる」とみており、期中には最大1200億円まで外債投資を増やす運用枠を確保しているという。

 米サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題による影響については、金融機関の損失処理は「7合目まで来ている」とみるが、信用収縮による問題が尾を引き、実体経済への影響は長引くとの見方を示した。

 朝日生命で約6兆円の資産を運用している資産運用統括部門・資産運用企画ユニットの藤岡通浩ゼネラル・マネージャーが2日、ロイターとのインタビューで述べた。詳細は以下のとおり。 

 <国内債券>

 07年度は円建て外債が500億円減少し、国内債券全体では06年度末の2兆6000億円から2兆5500億円に減少した。08年度は700億円程度を積み増す予定で、400億円程度を20年債を中心とする国債に充て、残りは社債などスプレッド物に充てる。「スプレッド込みで2%弱になるものを探して少しだけ積む」方針で、国内債全体では「今年度は調整の範囲内」にとどまる。07年度末でデュレーションは9年超となり、前年度の8年超からやや長期化した。今年度は横ばい、または、若干の長期化を想定している。

 金融政策については据え置かれる公算が大きいとみている。「上半期は利下げ圧力が強まるが、実際の下げには至らず、年末から来年年初に景気が好転してくれば利上げの議論が再び出てくる」と予想する。長期金利は1.2─1.8%で推移し、年度末に1.6%になると想定している。 

 <外国債券>

 外債は07年度上期に1000億円増やしたが、夏以降に利食い売りを出したため、年度末の残高は前年度比横ばいの4300億円となった。内訳は米ドル債が300億円減の3500億円、ユーロ債が300億円増の800億円。

 08年度は400億円の純増を見込むが、期中ではさらに800億円追加投資できるように運用枠を確保済み。「外債は今年収益を上げる機会の大きいセクターとみており、最大1200億円まで積み増すこともある」。為替相場のボラティリティを生かして為替益などを狙う。年度末には純増分を400億円とし、内訳は米ドル債とユーロ債が半々になる見通し。「ユーロ債は利下げ期待があるため債券投資として(金利面の)妙味があるが、米ドル債は為替の妙味がある。上半期ではユーロの方が妙味がある」とみている。

 金融政策については、米国では2%までの利下げを想定しているが、景気次第で1.5%までの緩和もあるとみる。欧州では夏に50bpの利下げがあると予想している。今年度の想定為替レートはドル/円が90─115円、ユーロ/円が140─170円で、年度末はそれぞれ110円、155円になるとみている。

 外債については対ドルで100円、対ユーロで150円を超える円高が魅力的な購入水準とみるが「固定的にキャリーを取りに行くというより、年間を通じて(相場が)上下するなかで売ったり、ヘッジしたりする」。現在はヘッジなしのオープン外債のみ保有するが、今年は「イールドカーブ次第でヘッジ付き外債を活用する局面も出てくる」。 

 <国内株式>

 国内株式は07年度に売却と減損等で500億円減少し、年度末残高は5000億円となった。国内株については06年度末に1947億円の含み益があったが、株価の急落で07年度末は60億円の含み損に転落した。

 今年度の株式投資は横ばいの予定。今年度は日経平均が1万1000円─1万6000円で推移し、年度末に1万5000円前後になると予想する。「今年は積極的にポーションを増やしたり、収益を取りに行くことは想定していないが、相場をみながら適宜、小口で買い増しを検討することもある」という。

 <その他> 

 オルタナティブ投資は07年度に20億円減少し、残高は710億円となった。プライベート・エクイティが20億円増え、ヘッジファンドは40億円減った。今年度はファンド・オブ・ファンズを中心に海外ヘッジファンドへの投資を200億円増やす。「金融市場の混乱でヘッジファンドが淘汰されたほか、金利低下やボラティリティの高さがヘッジファンドにとっては追い風で、新規投資にはいいタイミング」とみている。

 企業向け貸付残高は07年度に100億円増え、9200億円になった。今年度は300億円減少の予定。資産担保証券(ABS)は住宅ローン担保証券(RMBS)債券型を含め2550億円となり、前年度比150億円増加。今年度も200億円増える。投資用不動産は07年度に約300億円減少し、今年度は横ばいの予定。

 (ロイター日本語ニュース 大林優香記者 大塚理加記者;編集 佐々木美和)

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