PCメーカーとしてはいま一歩のハイアール

 中関村在線のメーカー別注目度についての統計によれば、ハイアールはメーカー製デスクトップPCで9位、ノートPCでは10位以下となっている。PCメーカーとしての同社の地位は、まだまだのようだ。ハイアールは今回紹介したように中国市場において変わったPCはリリースするものの、電脳街ではいまいち目立つ存在とはなっていない。また値段も買いたくなるほど安いというわけではない。同社のPCがひまひとつ人気のない背景には、こういった理由がある。

 携帯電話についても、スタンダードな機種から、写真で紹介した特徴のある機種まで様々な製品をリリースしているが、PCと同様、携帯電話メーカーとしてのハイアールは白物家電ほどの勢いはない。中関村在線の統計によれば、メーカー別注目度では10位以下となっている。人気こそないが、技術力がないわけではないようで、いよいよ解禁される中国版3Gこと「TD-SCDMA」の端末を既に何機種か用意している。

同社WEBページでは、3G端末の投入を予告している(画像クリックで拡大)

 同社が中国の情勢に合わせタイムリーに製品を投入するのは、今回のTD-SCDMA対応製品投入に始まったことではなく、例えばSARSのときには、SARS対策をうたった健康ケータイを発売した(現在は既に発売中止で、ラインアップからは外されている)。

 まとめると、中国の消費者は“ハイアールは白物家電メーカー”という印象を持っており、デジモノにはあまり強くないイメージを抱いているようだ。だからといって、中国デジモノを知る上で、同社のデジモノ系を無視していいかというと、結構、個性のある製品も投入しているのであなどれず、見過ごすことはできない。そんなメーカーがハイアールなのだ。

著者

山谷剛史(やまや たけし)

 海外専門ITライターとしてライター業を始めるものの、中国ITを知れば知るほど広くそして深いネタが数限りなく埋蔵されていることに気づき、すっかり中国専門ITライターに。連載に「山谷剛史のアジアン・アイティー」、「山谷剛史のチャイナネット事件簿」、「華流ITマーケットウォッチ」など。