3月に東京で観測された黄砂の粒子に、工場や自動車排ガスなどから放出される窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)が高い割合で付着していたことが、東京大環境安全研究センターの戸野倉賢一准教授らの調査で分かった。黄砂は中国北西部の乾燥地帯から飛来したとみられ、汚染物質も同国の工業地帯で放出された可能性が高いとみられる。
戸野倉准教授らは、黄砂の粒子一粒ずつに直接、イオン化用レーザーをあててリアルタイムで付着物質を解析する方法を開発。この方法で3月17、18日に東京大構内で採取した黄砂の粒子約9000個を調べたところ、高率でNOxやSOxが付着していたという。
これらの物質が付着した黄砂を呼吸により体内に取り込んだ場合、肺などに悪影響を及ぼす可能性があるという。今後は東京の大気環境に与える影響などについて調べる方針。【江口一】
毎日新聞 2008年3月31日 19時17分