けんもち聡監督(中央奥)の演技指導で撮影のリハーサルをする市川染五郎さんら=3月下旬、松本市旭の女鳥羽川沿い
松本市の市街地や山岳地域を舞台にした映画やテレビ番組の撮影が増えている。3月には、ほぼ全編が市内ロケという映画の撮影があった。市は観光温泉課に専門職員2人を置き、撮影を支援。担当者は「松本城や信大キャンパスといった街並み、北アルプスの自然などのイメージが映画関係者に浸透した」とみている。
同課によると、2002年度は58件だった撮影件数が05年度は106件に増加。昨年度は110件を超える見込みという。
3月に約1カ月間のロケを行ったのは、市川染五郎さん主演で09年春公開予定の「今度の日曜日に」。韓国人歌手のユンナさん、竹中直人さんも出演し、信大松本キャンパスや新聞販売店、女鳥羽川沿いのアパートが主な舞台となった。
監督のけんもち聡(さとき)さんは、信大の雰囲気や川が流れる街並みに引かれ、松本での撮影を決めたという。市川染五郎さんは撮影を振り返り、「見物人のマナーが良く、助かっている。松本の人の優しさを感じる。こういうやりやすい現場は初めて」と話していた。
06年には、日本、カナダ、イタリアの合作映画「SILK(シルク)」(フランソワ・ジラール監督)の撮影が入山辺の山間部や乗鞍高原などで行われた。ほかに、映画は「さよなら、クロ」(制作02年)、「嫌われ松子の一生」(同05年)、テレビドラマでは「ラブジェネレーション」などが撮影されている。
市は01年度、「県内自治体では先駆けて」(担当者)観光温泉課内に「ロケ支援係」を設けた。現在は名称を「ロケ支援担当」と変え、職員2人がロケ地の情報提供、エキストラ募集の協力、交通規制などの許可申請代行といった支援を続けている。
担当職員は「合併で上高地、乗鞍地区の撮影件数が加わったことも大きい」とも。市は松本の観光名所とともに、これまでのロケ地やその風景を紹介するマップを作り観光客などに配布。「松本の魅力を映像で紹介してもらえれば知名度アップにもつながる。さらに誘致、支援を進めたい」としている。