帰宅してから近場に買い物に出かけたのだが、ある交差点の信号を渡ろうとしたら、警察官が信号機の操作ボックスを開けて覗き込んだり何かしていた。しばらくして、
「すみません!車列を通させてください!」
と大きな声で信号待ちの人達に叫んだ。
要するに、車列をノンストップで通すために、車列の通る道の信号を青にし、横断する道の信号をずっと赤にしておくというのだ。ふーん、こうやってやんごとなき人が通るのか、と、いつまでも青信号の続く不思議な道路を眺めて待っていた。
3分くらい待った頃だろうか、白バイと先導車の後ろにその車が来て、スピードは落とさずに我々の前を通り過ぎる時、美智子皇后が、よくテレビで見るように淡い色の服を着て、にこにこして手を振っているのが見えた。窓は開いていなかったがよく見えた。別にそこにいた人達は信号待ちをしていただけで、美智子妃を待っていたわけではない。しかし手を振る皇后を思いがけなく目撃して、少し歓声が上がった。
私も皇室の人々をじかに見たことがなく、今日は初めて見た。
もう外は暗くなりかかっていたのだし、前を向いてただ座って誰が乗っているのかわからなくして通り過ぎることもできるのに、サービス精神?には頭が下がる。
ヒルティ『眠られぬ夜のために 第一部』の中の、この箇所を思い出した。
「あらゆる出会い、あらゆる別れ、あらゆる挨拶の機会、あらゆる約束の会合、これらはわれわれにとって開かれた機会であり、それをどう利用するかはわれわれの責任である。われわれの子供、召使、友人、知人たち――それぞれの人に対して、われわれは毎日、かつ一日中、感化を、つまりこの世の最もよいものか悪いものかを分配しているのである。」(6月8日の項)
これは、「現代のイギリスのある女流文筆家」の言葉だそうだ。
恐らく、皇后は、あのような親しみのこもった笑顔を絶やさずに可能な限りの機会を通じて感化を与えているのだろう。
一期一会という言葉もある。
今日の昼間、私も「感化」という言葉を使ったところだった。
今はちょうど、毎日たくさんの出会いがある。「よいもの」を分配できたらと思う。
2008年04月02日
晴れのち曇り 月齢25.4
posted by suke at 22:57
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| ヒルティ『眠られぬ夜のために』
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