パート労働者の処遇改善を図る改正パート労働法が施行された。正社員に比べ賃金が安いなど、これまで待遇面で劣るケースがみられたパート労働者について、働き方に応じた処遇をすることが企業経営者に課されることになった。
改正の主なポイントは、パート労働者を雇う際、昇給や賞与の有無などの明示を義務化したことだ。また、勤務実態が正社員と同じパートを、賃金や福利厚生などの待遇面で差別的に扱うことを禁止した。パートが正社員へ転換するための試験制度など転換推進措置を義務付けることも盛り込まれた。
パートというと、専業主婦による家計の補助的なイメージがあるが、近年は正社員並みに責任を担い、何年も働き続けている人も増えている。経営者が労働条件を明確にし、正社員との均衡を図った待遇を取ることは当然といえよう。
改正法が成立したのは昨年五月で、当時の安倍晋三首相が掲げる再チャレンジ支援策の一環だった。既に処遇改善の動きは出ており、この春闘でもテーマの一つになっている。また、パートの正社員化の動きもパート社員を多く抱えるサービス業や流通産業の中で、大企業を中心に目立つ。
法施行を先取りした形だが、背景には人手不足がある。団塊世代の大量退職と少子化による若年人口の減少、加えて景気回復により、人材の獲得競争がパートにも及んでいるためだ。
ただ、改正法で差別禁止の対象となる正社員並みのパート労働者は、全体の数%にすぎない。大半のパートの処遇改善は努力規定にとどまっているのも課題として残る。労働力人口が減る中、パートの重要性は高まる。処遇改善への、さらなる取り組みが必要になろう。