大阪城の桜も見ごろに近づきつつある中で始まった新年度。出会いと別れが交錯する季節でもあります。
在阪の同業社では、気恥ずかしそうな笑顔で古里へ帰っていく地方紙の先輩、大阪から新天地への旅立ちに表情を引き締める若手記者…など、思いはさまざまのようです。私の住む北摂地域は転勤族の多い土地柄だけに、中学三年に上がる二男も先日、転校する友達のお別れ会に出掛けていきました。
心が浮き立つような高揚感に、ちょっぴり寂しさも加わるこの時期、うれしい再会がありました。
兵庫県西宮市の甲子園球場で熱戦が続くセンバツ大会。わが郷土の興譲館は惜しくも初戦で涙をのみましたが、取材に赴いてびっくり。主将の三宅裕君は、かつての知り合いだったのです。
八年ほど前、岡山県南の赤磐支局に勤務していた時、近所だった三宅君は小学校高学年。ソフトボールに励む傍ら、私の長男、二男と一緒に週に一度、柔道と空手の道場に通い、私もともに汗を流していました。
当時、周囲よりひと回り大きな男の子だった三宅君を一言で表現すれば、一昔前、野球漫画の主題歌にもあった「気は優しくて力持ち」。学校の先生からも頼りにされる存在でした。
今センバツ、全力疾走とひたむきなプレーで観客から惜しみない拍手を受けた興譲館ナイン。その先頭に立ち、精悍(せいかん)さを増しながらも、変わらない笑顔を見せてくれた三宅君。懐かしい思い出とともに、春風のような元気をもらいました。
(大阪支社・大本哲弥)