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加藤久美子の乗ってナンボ

三世代でアメリカ西部3000キロの旅(2)


写真ルート66の標識
写真セリグマンの街
写真多くの観光客が訪れるギフトショップ
写真ギフトショップ兼ビジターセンター
写真40号線フリーウェイを走行中
写真モニュメントバレー
写真夕焼けに染まるビュート群

●3月22日、キングマンをスタート


出発地キングマン(アリゾナ州)
目的地モニュメントバレー(ユタ州)
ルートキングマン〜ルート66経由〜セリグマン〜(40号線)〜フラッグスタッフ〜(89号線〜163号線)〜カイエンタ〜(163号線)〜モニュメントバレー
本日の走行距離342マイル(547km)

 朝11時すぎにキングマンの宿を出発し、すぐにルート66(正確には、“ヒストリックルート66”)にのりました。最近は映画「カーズ」でフィーチャーされ、日本の親子の間でも知名度が高まっている道路です。


 シカゴ〜ロサンゼルス(サンタモニカ)を結んでいたルート66は、1926年に完成して約50年間、アメリカの発展に大きく貢献した大動脈路線でした。廃止されて30年以上が経過した今も、ルート66は多くのアメリカ人に慕われている道路なのです。


 今回ドライブしたキングマン〜セリグマン間の約80マイルは、まさに映画カーズの世界。静かで乾いた街でした。カーズでは「Radiator springs」という名前で出ていた街は、Peachspringsのことのようです。が、実際、観光地らしいものは一切なく、ルート66のクラシックなイメージを楽しむならセリグマンがおすすめです。街全体がレトロなイメージで統一されていて、たとえばレッカー車や消防車まで、(観光用の展示ではなく)レトロな顔つきなのには驚きました。この街の人々は、多くの人々に愛されているルート66を静かに守り続けようという気持ちで団結しているようにも見えました。


 なかでも、セリグマンにある有名なエンジェルス・バーバーショップ(Angel’s Barber Shop)は、床屋さんとお土産屋さん、そして、セリグマンのビジターセンターを兼ねたような存在ですが、中に入るとたくさんのお土産品よりも、まずは有名無名問わず、世界のいたるところから訪れてきたお客さんの名刺やサイン、海外のお札、自動車のナンバープレートなどが目を引きます。そこで、見つけたのが、カーズやトイストーリーでもおなじみの映画監督「ジョン・ラセター氏」のサインと色紙でした。お店のオーナーに向けて、「thanks  for keeping route66 alive」と書いてあります。


 セリグマン周辺を出て、次は40号線を東にフラッグスタッフへ向かいます。フラッグスタッフはアリゾナ州の比較的大きな都市なのですが、抱いていたイメージとは裏腹に、濃い緑の針葉樹林が美しいしっとりとした印象。3月下旬で、まだあちらこちらに雪がたくさん残っていました。


 フラッグスタッフを過ぎてしばらくすると、景色が一気に変わってきます。緑は減り、赤い大地が眼前に広がってきました。車内の雰囲気も、ざわついてきます。「もうモニュメントバレーの始まり?」「あれは違う?」「エアーズロックみたいなのが見える!」などなど。しかし、地図を見てもモニュメントバレーは200キロ以上先です。まだまだ遠い……。


 カイエンタを目指し北東方面へ。周囲はホントに赤い土と岩。まっすぐな道。遠くに切り立った丘のような岩のようなものが連なっている光景。それしか見えません。すれ違うクルマもまだ少ない時期です。ふと見ると、道路わきにサインが。「dinosaur tracks」と書いてあるのが見えました。え? 恐竜の足跡? 一刻も早く宿につきたかったのでかなり迷ったのですが、寄ってみることにしました。何となくもう片付けの雰囲気。「入場料はいるのか? まだ見られる時間か?」。息子に聞きに行かせましたところ、大丈夫とのことでした。ナバホ族の手作りのジュエリーも売られていました。入場料は特に必要なく(あとでチップを2ドル渡しました)、ナバホ族のおじさんが、案内をしてくれました。


 心の中で「え? これ、本物?」などと思いつつも、次々に「これは、ティラノサウルス、こっちはトリケラトプスの足跡。お母さんと子供だよ」とか、「これは恐竜のフン(幼児英語でpoo)ウンチだよ」なんて見せてくれます。圧巻は砂岩に埋まった骨でした。このあたりは恐竜の骨や足跡がごろごろしているようで、いろんな場所で普通に見られるのだそうです。


 夕日が沈みそうな時間になってしまいましたが、その後、カイエンタを経由して一路モニュメントバレー内の宿、グルーディングロッジへ向かいます。星がきれいです。周囲には店もなく道路の灯りもありません。おそらく窓の外には壮大なモニュメントバレーの景色が広がっているのでしょうけれど、ヘッドライトが届くはずもなく、まったく見えません。20時半には着けそうなので、何とかレストランが開いている時間までに間に合う! と思いましたが、着いたらフロントデスクの時計は驚きの21時半(ロッジのレストランや敷地内スーパーなどはすべて21時まで)。


 あ〜、そうでした。アリゾナ州とユタ州は同じタイムゾーンですが、アリゾナはサマータイムを採用していないため、たとえ州境の町であっても時差はきっちり1時間。半径50キロ圏内にお店はなく、ロッジ内の自販機はソーダ類のみ。この日の夕食は日本から持ち込んだインスタントのうどんを、コーヒーメーカーで調理して食べました。


●3月22日、モニュメントバレーに泊まる


 今日はモニュメントバレー滞在の日です。朝起きて外を見ると、おぉー! 感動の光景が。宿泊しているグールディングロッジは、1920年代に作られたモニュメントバレー内にある唯一の宿泊施設(2008年にビジターセンター内にホテルができる模様)として人気ですが、すべての部屋から美しいビュートが見えます。


 近くにあるビジターセンターに出かけてきました。ここでは、入場料を人数分(大人1人5ドル。10歳未満無料)払って入ります。モニュメントバレーの有名な、三つのビュートが目の前です。このエリア内では、制限速度10から15マイルでビュートの周囲をドライブすることもできます。舗装は一切されていないので、デコボコの激しい部分もあります。運転が不安な人にはツアーも出ています。


 さて、23日はまた700キロ近く走ってラスベガスへ向かいます。


(2008/04/02)



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