昨年度末に期限が切れた在日米軍駐留経費(思いやり予算)に関する特別協定の承認案が2日、衆院外務委員会で採決され、与党の賛成多数で可決された。民主党は反対に回ったため、野党が過半数を占める参院では否決される見通し。条約の国会承認は憲法の規定で衆院の議決が優先されるため、条約と同等扱いの特別協定は最終的には承認される見込みだ。だが、在日米軍の訓練などで既に支障が出ており、「ねじれ国会」の与野党対決が日米同盟にも影響する事態となった。
「米軍のプレゼンス(存在)はわが国やアジア全域の安全保障につながるもので、(特別協定を)継続しないといけない」。同日の外務委に出席した福田康夫首相は特別協定継続の必要性を強調した。
特別協定の承認案は3日の衆院本会議で可決され、参院に送付される見通し。条約の国会承認は、衆参が異なった議決をした場合と衆院可決後に参院が30日以内に議決しない場合、衆院の議決が優先される。3日中に参院に送付されたら、遅くとも5月3日には承認となる計算だ。
承認の遅れで、4月中に実施するはずだった米軍基地から自衛隊基地への戦闘機の訓練移転は見送られた。特別協定には基地従業員の給与が含まれるが、支給は5月10日ごろで、支払いの遅延は避けられそう。ただ、当面の光熱水費は米側が立て替えなければならない。
直接的な影響は限られるが、インド洋での海上自衛隊の給油活動中断に続き「ねじれ国会」が外交へ反映した格好だ。「米政府は、物事を決められない日本の政治に不信感や不快感を抱いている」(防衛省幹部)など、日米同盟に与える長期的な影響を危惧(きぐ)する声がでている。【古本陽荘】
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