2006年5月から続く指定暴力団の道仁会(本部・福岡県久留米市)と九州誠道会(本部・同県大牟田市)の抗争。誠道会の幹部は今月20日、佐賀県武雄市の病院で人違いで射殺された男性=当時(34)=宅を訪れ、会長引退と抗争の終結を宣言した。捜査当局は「一方的な宣言にすぎず、双方は依然、緊張状態にある」とみており、宣言通りに抗争が終結するのか行方は不透明だ。
「私の九州誠道会会長職引退をもって抗争終結宣言を致します」
20日午後、遺族を訪ねた九州誠道会の幹部2人は、抗争に巻き込んだことを謝罪した上で、朴植晩会長名の宣言文を手渡したという。
突然の終結宣言。そこには“前兆”があった。
福岡県警は2月初め、誠道会側が会長引退と抗争終結を発表するらしい、との情報をつかんでいた。関係者によると、誠道会関係者が県警など複数の捜査機関に「抗争をやめたい」との意向を伝えていたという。
一方の道仁会側は沈黙を守っているが、県警に対し抗争を自粛する意向を伝えている。「相次ぐ銃器犯罪を受け、取り締まりが強化されている。双方とも資金面で苦しくなっているのではないか」。捜査幹部は分析する。
ただ、「道仁会側はトップの会長を殺害されている。“手打ち”を模索する動きがある、との情報はあるが、それに反対する勢力もあるようだ」と指摘。「抗争が再燃する可能性もある」と警戒を続ける構えだ。
=2008/03/27付 西日本新聞夕刊=