「法案を審議しない参院とは、なんなのか」「与党も野党も反省してほしい」--。ガソリンの値下げが始まり、消費者の間には歓迎ムードも漂うが、どうにも腹の虫が治まらない人たちがいる。暫定税率の失効で道路関連予算の圧縮や凍結を強いられた都道府県知事らだ。国政への不信は膨らむ一方だ。
福岡県の麻生渡知事は1日の会見で、ガソリンの暫定税率を維持する租税特別措置法改正案が参院で採決されなかったことを口を極めて批判した。「いつまでも国民生活に直結した関連法案を審議しない。参院とは何なのかということだ。むちゃくちゃですよ」。衆参両院議長のあっせんについても「かくも無力なものであったのか」。福岡県は08年度予算のうち道路事業については新規・継続双方の執行を停止する。
元民主党衆院議員の上田清司・埼玉県知事も同日の会見で「参院議長の権威とは一体何なんだと不快感が残る。私が参院議員だったら『辞めろ』と言うでしょうね」と古巣・民主党出身の江田五月議長を批判した。
道路の新規事業を停止した栃木県の福田富一知事は、新採用職員辞令交付式で「350億円の減収になる。財政が厳しい中で出鼻をくじく(税率の)廃止になった」と地方への影響を懸念した。
大分県の広瀬勝貞知事も会見で「民主党の菅(直人・党代表代行)さんも、会うたびに『地方には迷惑をかけない』と言っていたのに、この結果が迷惑をかけていないのか聞いてみたい心境だ」と民主党を批判した。
京都府の山田啓二知事は暫定税率失効への対策を検討する府の会合後、報道陣に「周知期間ゼロという、あり得ない異常な状況。地方がこんなにつらい目に遭っていることを、国も与党も野党もよく認識し、反省してほしい」と語気を強めた。
三重県の野呂昭彦知事は「国は地方の目から見て頼りにしていいのか分からない」と不満をぶつけた。
毎日新聞 2008年4月2日 11時23分(最終更新 4月2日 12時43分)