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【Re:社会部】「容疑者」か「元社長」か
このニュースのトピックス:ロス疑惑
ロス疑惑銃撃事件でサイパンで逮捕された三浦和義容疑者の呼称が在京各紙で分かれていることが、マスコミ業界で話題になっているようです。
在京各紙のほとんどが初出のみ「容疑者」として、その後は「元社長」という表記。日本の裁判で三浦容疑者の無罪が確定したことに重きを置いた判断でしょう。
一方、本紙は通常の事件報道通り「容疑者」呼称に統一しています。これは、現に米当局の逮捕状に基づいて身柄拘束されていることを重視したものといえます。
皮肉にも、容疑者呼称が始まったのは昭和60年代のロス疑惑での過熱報道が大きな契機の1つ。以前は呼び捨てで報道されていたことを考えれば、「逮捕された人を犯人視しない」という意味を込めた容疑者という呼称には、当時は大きな意味がありました。
それから約20年。容疑者呼称は定着しましたが、今や「犯人」とほぼ同義に解釈されがちであることも確かです。しかし、「罪を犯した疑いをかけられた人」という本来の言葉の意味に立ち返れば、そこに込められた人権上の配慮はくみ取れると考えます。
折から、全国で無罪判決が相次いでいます。報道に携わる者として呼称をどうするかという議論はもちろん必要ですが、何より大切なのは「容疑者を直ちに犯人視しない」という姿勢だという気がします。(浜)