【八重山】沖縄本島地方や先島諸島に漂着するごみは1998年から2007年までの10年間で8・6倍に増えていることが、山口晴幸防衛大学校教授(建設環境工学)の調査で分かった。外国からの漂着ごみが目立ち、中でも中国からのごみが13倍強に急増。中国福建省はホームページ(HP)に、漂着ごみについて「沿岸部のごみ処理のシステムが完全でない」との文書を掲載。環境より経済成長を優先させた結果と言えそうだ。山口教授は「経済発展の陰で大量にごみが流出している。発生源を抑えなければ漂着ごみ問題は解決しない」と指摘する。
山口教授は98年から年2回、県内の13離島、計517カ所の海岸を徒歩で、1キロメートル当たりのごみの種類と個数、排出国を調査。ごみの約8割がペットボトルなどプラスチック類、漁船から廃棄されたとみられる発泡スチロールブイや漁網も多かった。
調査個所総計で98年に1437個だった漂着ごみは、07年に8・6倍の1万2295個に増加。排出国が判別できたうち、98年に138個だった中国製ごみは07年に13・3倍増の1839個に上り、外国製ごみの6割以上を占めた。
中国福建省の通達文書によると、漂着ごみの原因は(1)沿岸部のごみ処理システムが整備されていない(2)船舶や養殖業者の廃棄物を回収できていない(3)工業地域から廃棄されるごみが大量に海に流出している―など。対策として、漂着物管理制度を設けることや海上パトロールの強化などを掲げ「人々のごみ問題に対する意識改革に力を入れる」としている。
山口教授は「中国国内では漂着ごみ問題はほとんど知られていないのではないか。日本側から情報発信し、不法投棄の取り締まりを働き掛ける必要がある」と指摘した。環境省は「『本当に中国から来ているのか』と言われる可能性もあり、具体的に中国側に漂着ごみについて改善を申し入れたことはない。きちんとデータを集めている段階」としている。
(松堂秀樹)
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