4月になると、十和田湖には「キクザキイチリンソウ」が咲き始めますが、「ブナ」や「カエデ」などの広葉樹は、まだ裸のまま。春とはいえ、寒さがまだ残る早春。群生はするのですが、一面のお花畑というわけではありません。お花畑といえるほどの群生は、本格的な春がやってくるのを待たなければなりません。 |
雪深い北國に生活する人間にとって、春は待ち焦がれる季節です。雪に閉ざされた日々から一転して、ポカポカと暖かな陽を浴びる歓喜の朝とも言えます。蕗の薹が顔を覗かせたり、黒々とした土を目にしただけで、なんとも嬉しくなってしまう季節なのです。しかし、『三寒四温』の言葉の通り、春は一進一退を繰り返す季節でもあります。せっかく咲かせた花が雪に埋もれてしまうことも珍しくありません。それでも「スプリング エフェメラル」の花々は、雪に負けることなく花を咲かせる強(したた)かさを備えているのです。 |
「キクザキイチリンソウ」の花が終わる頃、十和田湖には「ニリンソウ」が咲き始めます。二つの花はどちらもキンポウゲ科に属しています。同じくキンポウゲ科で、猛毒の代表「トリカブト」も葉を付けはじめます。これらはややこしいことに、同じような葉っぱを付け、同じようなところに群生するため、慣れない方には区別が付かないかもしれません。
キンポウゲ科の植物はほとんどが毒草ですが、この「ニリンソウ」だけは早春の山菜として愛されています。キンポウゲ科で唯一と言っていいでしょう。猛毒の「トリカブト」は根元が赤く、いかにも毒々しい感じがしますが、「ニリンソウ」は清楚な白で感動的なまでに美しい花です。
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