食料品の値上げが相次ぎ、家計の負担も重くなってきた。小麦粉もその一例で、製粉各社は今月、十数%の値上げを発表した。
総務省の小売物価統計調査によると、小麦粉は、80年代以降、価格がほとんど動かない“物価の優等生”だった。それもそのはず。小麦の9割は輸入で、そのほぼ全量を政府が買い入れ、国際相場が上がっても、国費で穴埋めして、製粉会社に売り渡してきたからだ。
ところが昨年4月、国際相場に連動する方式に変わり、政府は24年ぶりに売り渡し価格を引き上げ、1・3%増とした。10月には10%引き上げ、来月は30%上昇する。
製粉振興会の鈴木五六専務理事は「穀物は1種類が値上がりすると、他も上がるもの」と話す。バイオ燃料への関心で需要が高まったトウモロコシへの転作が進み、小麦の作付面積は減る一方。しかし需要は減らないので、価格は上がる。
「工業品の値段は上がっても、食料品は上がらないことに慣れてきた。だから最近の値上がりが大きく感じるのでは」と鈴木さん。“物価の優等生”を当たり前のように受け止める意識が消費者にもあったのかもしれない。【柴田真理子】=おカネ歳事記は今回で終わります
毎日新聞 2008年3月30日 東京朝刊