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質問なるほドリ:何で後期高齢者って名付けたの?=回答・吉田啓志

 ◆何で後期高齢者って名付けたの?

 ◇医療費抑えるため切り離し--75歳以上は全員加入

 なるほドリ 「後期高齢者医療制度」って呼び方はそんなに評判が悪かったの?

 記者 そうなんです。何歳から老人と呼ぶかは結構迷うものですよね。若々しいお年寄りが増えているから、なおさらです。しかし、厚生労働省は65歳から74歳までを「前期高齢者」、75歳以上は「後期高齢者」って機械的に分類したため、後期とレッテルを張られた人たちの不満は大変なものでした。終わりが近いような響きがありますからね。福田康夫首相もさすがにまずいと思ったのでしょう。

 Q どうして線引きする必要があったの?

 A 75歳以上の人だけを対象にした医療保険を新たに作るためなんです。その年代を言い表す適当な呼び方がなかったので、学界で使われていた言葉を、役所が深い考えもなしに用いたようです。75歳はキリがいいというだけで、線引きする科学的な根拠があるわけではありません。ちなみに、75歳以上の人は全国に約1300万人います。

 Q その新しい医療保険ってどんな仕組みなの?

 A 新制度は1日に始まりました。75歳以上の人全員を、従来の医療保険から切り離し、後期高齢者医療保険に加入させたことが最大の特徴です。厚労省の本音は、膨れ続ける高齢者の医療費を抑制することにあります。だから新制度では、これまで保険料を払わなくてすんでいた人も、保険料の支払い義務が生じます。医療費を使い過ぎたら保険料アップの形で自分にはね返る。イヤならむやみに医者に行くなというわけです。

 Q 厳しいんだね。

 A 75歳以上の人の医療費が年10・8兆円に上る現実があるので、仕方のない面もあります。この医療費のうち、保険料で賄えるのは1割に過ぎず、5割は税金、4割は現役世代の支援金が充てられます。75歳以上の人が病院の窓口で支払う自己負担分は原則1割で、今までと変わりませんが、年金の受領額が年18万円以上になるような人は、今月15日支給の年金から保険料が天引きされます。団塊世代が75歳以上になるころは、負担がもっと増えるでしょう。「長寿医療制度」と言い換えても、制度の本質が変わるわけではありません。(政治部編集委員)

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 〒100-8051(住所不要)毎日新聞「質問なるほドリ」係(naruhodori@mbx.mainichi.co.jp)

毎日新聞 2008年4月2日 東京朝刊

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