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社説:後期高齢者医療 制度は完結していない
一般的に65歳以上を高齢者ととらえ、74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と区分している。その後期高齢者全員と、一定の障害のある前期高齢者が加入する医療制度が1日、国民健康保険などの医療保険制度から切り離してスタートした。対象者は全国で約1300万人、県内では約17万6000人とされている。
後期高齢者医療制度は都道府県単位の広域連合が運営する。子どもらに扶養されてきた人たちを含めて加入者全員が保険料を負担し、保険料は都道府県単位で決まる。年額18万円以上の年金を受給している人は保険料が年金から天引きされる。所得に応じた軽減措置はあるものの、不安や戸惑いが広がらないよう、自治体や広域連合は周知徹底に努めてもらいたい。
保険料は各地域で掛かった医療費を基に設定され、全国平均で年額約7万円、本県平均は約6万円となる。これまで扶養家族として保険料を払っていなかった人たちにとっては、大きな負担増となる。全国には約200万人の被扶養者がおり、半年は徴収を免除した後、段階的に負担を増やす措置が取られる。
新制度は加入者が納める保険料1割、75歳未満の医療保険からの支援金4割、公費5割で賄われる。医療機関での窓口負担は通常で1割。新制度導入の主な目的は増え続ける高齢者医療費の抑制にあるが、低所得者への配慮が必要だ。滞納が1年以上続けば保険証が取り上げられ、医療費がいったん全額自己負担となる。高齢者の目に、こうした措置はかなり威圧的に映ることだろう。
受けられる医療の内容も気になる。全体の医療費を抑制する一方で医療の質が変化することはないだろうか。例えば慢性疾患の人が外来診療を受ける場合、いくら処置や検査をしても医療機関への支払いは定額になる仕組みとなった。このためコスト割れを恐れて診療を手控える医療機関が出たり「粗診粗療」につながったりはしないか、との懸念もぬぐえない。
混乱しそうな点はほかにもある。開業医が中心になって総合的に診療する「担当医」が導入された。高齢者は慢性疾患を抱えている場合が多く、計画的に診療するのが狙いだが、支払いを定額にするか従来通り出来高にするかは、担当医が判断できるシステムなのでもある。このため、新制度がうまく機能するかどうかは担当医の判断と力量にかかってくる。担当医の設定が、ほかの医療機関を受診しにくくするのも好ましくない。
問題もある新制度に対し、全国で批判が相次ぎ、県内でも見直しを求める意見書を採択した自治体議会がある。高齢者が医療費増大への責任を感じたり、負担増を嫌ったりして受診をためらうようなことにでもなれば、新制度導入の意味はなくなる。絶えず内容を点検し、改善に努める姿勢が必要だ。
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