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福田首相:記者会見全文1 「心よりおわび」ガソリン税時間切れに

 福田康夫首相は31日の記者会見で、ガソリン関連の租税特別措置法改正案が07年度内に成立しなかったことについて国民におわびをした。会見全文は以下の通り。

 明日から新年度が始まります。その08年度予算は先週成立いたしました。歳入面では4年連続で新規国債発行額を減少させ、財政健全化に向けた動きをさらに推し進めることができました。また歳出面では、科学技術など成長力強化につながる政策、医師確保対策や防災対策など国民生活の安全・安心のための政策、地域活性化対策といったような必要な政策課題に重点的な予算配分を行い、メリハリのある予算になったと考えております。

 しかし予算成立の一方で、その前提となる歳入のうち、ガソリン関係の税制改正法案は、本日まで成立しないという異例の事態となりました。この状態が続けば、街のガソリンスタンドで大きな混乱が懸念されるほか、また国、地方においても予算に大きな穴が生じることになります。国民生活を守るという総理大臣の責任を果たすために、最後の最後まで野党の皆さんと話し合いで解決できないか、ぎりぎりの努力を続けて参りましたけれども、野党が多数を占める参院では、1カ月間、一度も法案の審議が行われることなく、ついに時間切れとなりました。政治が本気になれば防ぐことができた地方財政や国民生活への混乱を防げなかったことは残念でなりません。このように与野党間で解決できなかったとはいえ、政治のツケを国民のみなさんに回す結果になったことについては、まずは心よりおわび申し上げます。

 私は先日、この場所で、見直すべきは大胆に見直すとお約束いたしました。まず第1に道路予算に大きく依存している公益法人廃止・民営化を進めるとともに、不適正な、不透明な天下りを徹底的に排除するなど、ずさんな無駄遣いの根絶、第2にガソリン税などの使い道を道路整備だけに限定するのではなく、地球温暖化対策や医療、少子化対策など、さまざまな政策に使用できるようにする道路特定財源制度の廃止・一般財源化、第3に10年間の道路整備計画の5年間への短縮、新たなデータを用いた計画内容の見直し。これら、国会審議の中で明らかとなった問題に対応するためであり、これをきちんとやり遂げてまいる決意であります。

 新たな提案を行ったにもかかわらず、民主党との話し合いはつきませんでした。参院では民主党が多数を占めているのだから、民主党の意見を丸のみすれば混乱は回避できたのではないかというご指摘もございました。しかし暫定税率を廃止して、ガソリン税などを引き下げるという、この民主党の主張については、日本の現状、将来を考えて譲るべきではないと考えました。税金は少しでも安い方が、国民のみなさんにとってよりよいことは間違いありません。現在のような物価高騰の折りであれば、なおさらでございます。しかし、地方を含めた国民生活、日本経済全体に責任を負う私としては、私は率直に国民の皆さんにお願いを申し上げなければなりません。まず世界では、ガソリンに対する税金を引き上げる傾向に今あります。

 これは世界が地球温暖化問題に立ち向かうため、ガソリン価格の引き上げやCO2(二酸化炭素)を排出するガソリン消費を抑えることに役立つと考えているからであります。その結果、ガソリン価格は今、イギリスでは250円、1リットル250円、フランスやドイツでも220円であります。もしここで日本が、ガソリンの税金を25円安くすれば、ガソリン価格は125円となり、イギリスの半分になってしまいます。地球温暖化対策に取り組んでいる世界に対して、日本はガソリンの消費を増やそうとするのではないかという誤ったメッセージを発することになりかねません。時代逆行の動きであります。今年7月には北海道洞爺湖において各国の首脳が集まり、この地球温暖化問題への対応を検討します。その時に「ガソリンは安い方がよい」というのでは、各国の首脳は果たして納得してくれるでしょうか。今私たちは京都議定書の6%削減を達成しようとしております。少なくとも環境問題を重視すべきこの時期に、ガソリンの税率を引き下げることは適当ではないと考えています。またここでもし民主党が主張するように、ガソリンの暫定税率が廃止になれば、消費税1%分に相当する2兆6000億円の財源が失われてしまいます。

 08年度に予定されている道路建設や立体交差建設に必要な財源が失われ、地方公共団体によっては福祉や教育などの住民サービスなどの見直しにつながる恐れも生じます。さらに私は09年度からガソリン税を一般財源化するという思い切ったお約束をしている。一般財源化することで、もちろん必要な道路は都市でも地方でも作りますが、それ以外に環境、医療、少子化などさまざまな政策に使用できるようになります。また地球温暖化は世界共通の課題です。環境問題の解決には革新的なエネルギーの開発が不可欠。これには巨額の開発費用が必要になります。こうした行政ニーズが高まる一方で、今国、地方の財政はともに大きな借金を抱えております。ガソリン価格の引き下げだけを主張し人気取りに走ることは簡単であります。しかし、しっかりとした見通しのないままでは子供たちや孫たちなど将来世代へのツケをまわすだけになってしまいます。私としてはこの国と子供たちの将来のためにも暫定税率の維持をお願い申し上げたいと思います。

2008年3月31日

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