佐久大学(佐久市)看護学部が4月5日に開学する。県看護大学(駒ケ根市)、信州大学医学部保健学科(松本市)に次ぐ4年制の看護・保健師養成の大学で、全国的に不足する看護師養成への期待が高まっている。2回に分けて大学の意気込みを紹介する。【藤澤正和】
佐久大学は、学校法人・佐久学園(樫山幹男理事長)が運営する信州短大構内に併設される。総予算は27億円。法人資産の12億円に県、佐久市、JA長野厚生連がそれぞれ5億円ずつ負担した。9億円をかけ3階建て校舎を新設。運動場や図書館など短大施設を有効に活用する。
看護学部は卒業時に看護師、保健師国家試験受験資格が得られる。定員は1学年80人。OA入試、推薦入試、社会人入試で47人が合格。前・後期の一般入試では104人が受験し71人が合格した。4月5日の入学式には、県外の23人を含め93人の1期生が誕生する予定だ。
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全国的に産科医、小児科医を中心に勤務医不足が深刻だが、看護師不足も同様の状況にある。県医療政策課によると、県内の看護従事者は98年が1万1195人、02年1万3804人、06年は1万5896人と総数は増加しているが、06年4月、患者7人に対し看護職員1人を手厚く配置する「7対1」の新設で不足感が高まっているという。また、医療の進歩で、より高度な知識と技術が看護師にも要求され、養成学校は3年課程、大学など4年制、専攻科、大学院の流れにある。准看護師養成校は89年の定員460人から07年は180人に激減。それに伴い准看から正看護師へのステップアップを目指す2年課程も志願者が減り、廃止する学校が目立つ。
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佐久大学の学長には、宮田道夫・元自治医大教授、看護学部長には竹尾恵子・元国立看護大学校長が就任。専任25人、非常勤35人の教授陣も決定した。新年度中に助産師養成や高度な保健学・看護学研究のため大学院の設置を予定。佐久市の3月議会で、将来の医学部設置を提案する意見もあり、大学に寄せる市民、関係者の期待は大きい。樫山理事長は「優秀な学生が集まった。市内に実習を受け入れる二つの総合病院があり、地の利に恵まれている。十分な教育体制を整え一日も早く軌道に乗せたい」と話す。
毎日新聞 2008年4月1日 地方版