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ファンドアナリストの視点
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2008-03-31
純資産額上位20本 〜米国と日本の比較〜
今回は国内公募追加型株式投信の純資産額上位20ファンドと米国ミューチュアルファンドの純資産額上位20本を比較します。

「大きく異なる運用期間」

(図表1)日米の純資産額上位20ファンドの純資産額と設定日(モーニングスター調べ)

  順位 ファンド名 純資産額
(1ドル:100円で
円換算、億円)
設定日
米国 1 American Funds Grth Fund of Amer A 182,987 1973/11/30
2 PIMCO Total Return Instl 120,542 1987/5/11
3 American Funds EuroPacific Gr A 114,632 1984/4/16
4 Vanguard 500 Index 114,101 1976/8/31
5 American Funds Capital World G/I A 107,000 1993/3/26
6 American Funds Capital Inc Bldr A 106,589 1987/7/30
7 Vanguard Total Stock Mkt Idx 102,376 1992/4/27
8 American Funds Invmt Co of Amer A 84,172 1934/1/2
9 American Funds Inc Fund of Amer A 83,903 1970/12/31
10 American Funds Washington Mutual A 77,668 1952/7/31
11 Fidelity Contrafund 72,969 1967/5/17
12 Vanguard Institutional Index 68,556 1990/7/31
13 American Funds American Balanced A 58,955 1933/1/3
14 Franklin Income A 57,914 1948/8/31
15 Vanguard Total Bond Market Index 57,898 1986/12/11
16 American Funds New Perspective A 57,439 1973/3/13
17 Dodge & Cox Stock 56,481 1965/1/4
18 Fidelity Diversified International 50,215 1991/12/27
19 Dodge & Cox International Stock 49,588 2001/5/1
20 Vanguard Wellington 49,111 1929/7/1
日本 1 グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型) 54,651 1997/12/18
2 ピクテ・グローバル・インカム株式(毎月分配) 21,571 2005/2/28
3 マイストーリー分配型(年6回)Bコース 19,265 2005/5/30
4 ダイワ・グローバル債券F(毎月分配型) 15,840 2003/10/23
5 財産3分法F(不動産・債券・株式)毎月分配型 11,131 2003/8/5
6 DIAM 高格付インカム・オープン(毎月決算) 9,055 2003/7/15
7 三菱UFJ 外国債券オープン(毎月分配型) 6,305 2002/8/29
8 ダイワ 世界債券ファンド(毎月分配型) 5,844 2005/12/16
9 グローバル好配当株オープン 5,766 2005/7/22
10 りそな・世界資産分散ファンド 5,441 2005/11/18
11 ハイグレード・オセアニア・ボンド(毎月分配) 4,980 2003/6/13
12 日興 スリートップ(隔月分配型) 4,790 2006/10/31
13 ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンド 4,659 2003/8/8
14 GW7つの卵 4,635 2003/2/28
15 グローバルREITオープン 4,308 2005/2/21
16 野村 世界6資産分散投信(分配コース) 4,176 2005/10/3
17 ワールド・ソブリンインカム 4,165 2002/3/26
18 ニッセイ/パトナム・インカムオープン 4,080 1998/7/31
19 野村 世界高金利通貨投信 3,975 2007/8/29
20 フィデリティ・日本成長株・ファンド 3,509 1998/4/1
純資産額は2008年2月末現在

図表(1)は米国籍と日本籍のファンドのうち純資産額上位10ファンドを並べた順位です。米国のファンドは日本円で換算(1ドル=100円)すると全てが4兆円以上の巨大ファンドが並んでいます。また、7本が10兆円以上と1兆円以上が5本の日本とは規模の差は歴然としています。また、設定日を見ると米国ではもっとも新しいファンドは「Dodge & Cox International Stock」の2001年、最も古いファンドは「Vanguard Wellington」の1929年、15本以上が設定から20年以上を経ており、長期運用ファンドに資金が集まっています。20年以上というとファンドマネジャー、アナリストなどの交代なども何度か行なわれているであろうと考えられますが、それでも資金が集まり続けるのにはファンド自体の投資方針が長年にわたって支持された結果でしょう。また、20本中9本が「American Funds」と銘打たれているがこれは米キャピタルグループの運用しているファンドで、米国では圧倒的な存在感です。他にも4本はバンガードのファンドとなっているが、こちらはインデックスファンドで世界的に著名な運用会社です。
 次に日本の方を見てみると「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」が1997年設定で最も古く、唯一の10年ファンドとなっています。また、運用期間が3年未満のファンドも7本に上っており、新しいファンドに資金が集まっている傾向がうかがえます。米国においては長期的な運用成果が評価される一方で、日本では比較的新しく設定されたファンドが好まれる傾向にあるようです。


(図表2)日米の純資産額上位20ファンドのカテゴリーとレーティング(モーニングスター調べ)

  順位 ファンド名 モーニングスター
カテゴリー(注1)
レーティング(注2)
米国 1 American Funds Grth Fund of Amer A 米国大型グロース ★★★★
2 PIMCO Total Return Instl 国内債券・中期 ★★★★★
3 American Funds EuroPacific Gr A 国際株式・グローバル・大型ブレンド ★★★★★
4 Vanguard 500 Index 米国大型ブレンド ★★★
5 American Funds Capital World G/I A 国際株式・グローバル ★★★★★
6 American Funds Capital Inc Bldr A 国際ハイブリッド ★★★
7 Vanguard Total Stock Mkt Idx 米国大型ブレンド ★★★
8 American Funds Invmt Co of Amer A 米国大型バリュー ★★★
9 American Funds Inc Fund of Amer A 国内ハイブリッド・積極 ★★★
10 American Funds Washington Mutual A 米国大型バリュー ★★★
11 Fidelity Contrafund 米国大型グロース ★★★★★
12 Vanguard Institutional Index 米国大型ブレンド ★★★
13 American Funds American Balanced A 国内ハイブリッド・積極 ★★★
14 Franklin Income A 国内ハイブリッド・インカム ★★★★★
15 Vanguard Total Bond Market Index 国内債券・中期 ★★★★
16 American Funds New Perspective A 国際株式・グローバル ★★★★
17 Dodge & Cox Stock 米国大型バリュー ★★★★
18 Fidelity Diversified International 国際株式・グローバル・大型グロース ★★★★
19 Dodge & Cox International Stock 国際株式・グローバル・大型バリュー ★★★★
20 Vanguard Wellington 国内ハイブリッド・積極 ★★★★★
日本 1 グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型) 国際債券型(F) ★★★
2 ピクテ・グローバル・インカム株式(毎月分配) 国際株式・グローバル(F) ★★★★★
3 マイストーリー分配型(年6回)Bコース 国際ハイブリッド・安定(F)  
4 ダイワ・グローバル債券F(毎月分配型) 国際債券型(F) ★★★
5 財産3分法F(不動産・債券・株式)毎月分配型 国際ハイブリッド・バランス(F) ★★★★
6 DIAM 高格付インカム・オープン(毎月決算) 国際債券型(F) ★★★★★
7 三菱UFJ 外国債券オープン(毎月分配型) 国際債券型(F) ★★★★
8 ダイワ 世界債券ファンド(毎月分配型) 国際債券型(F)  
9 グローバル好配当株オープン 国際株式・グローバル(F)  
10 りそな・世界資産分散ファンド 国際ハイブリッド・積極(F)  
11 ハイグレード・オセアニア・ボンド(毎月分配) 国際債券型(F) ★★★
12 日興 スリートップ(隔月分配型) 国際ハイブリッド・安定(F)  
13 ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンド 国際債券型(F) ★★
14 GW7つの卵 国際ハイブリッド・積極(F) ★★
15 グローバルREITオープン 国際株式・グローバル(F) ★★
16 野村 世界6資産分散投信(分配コース) 国際ハイブリッド・安定(F)  
17 ワールド・ソブリンインカム 国際債券型(F) ★★★★
18 ニッセイ/パトナム・インカムオープン 国際債券型(F) ★★
19 野村 世界高金利通貨投信    
20 フィデリティ・日本成長株・ファンド 国内大型グロース ★★
(注1)モーニングスターカテゴリーは日米で基準が異なる。
(注2)モーニングスターレーティングは日米で基準が異なる。

次にカテゴリーで比較してみると米国は20本中8本までが米国株式、4本が国内ハイブリッド、2本が国内債券となっており、国内の資産に多くの資金が集まっていることがうかがえます。資産クラスで見ると米国株式、国際株式で13本と株式が多くの資産を占めています。一方、日本で多くの資金を集めているファンドのうち10本(カテゴリーのついていない「野村 世界高金利通貨投信」を含む)が国際債券型、6本が国際ハイブリッド型、3本が国際株式型と海外資産に偏重が顕著です。また、資産クラスにおいても日本は債券型が多くなっており、米国に比べリスク許容度が低いと推察されます。レーティングを見ると運用期間3年以上のファンドにレーティングが付くため、米国では全てのファンドにレーティングが付くなど運用期間の長さが改めて認識される一方で、日本のファンドは7本にレーティングがついておらず、3年未満という比較的運用期間の短いファンドにも多くの資金が流入していることが分かります。また、レーティング値も米国では2つ星以下が無いのに対して、日本では2つ星以下が5ファンドあるなど、相対的に優れていたファンドの選定という意味でも異なる投資行動が見受けられます。

 このように米国と日本では純資産額の上位20本を見るだけでも規模、運用期間、投資対象地域、投資対象資産が大きく異なるほか、日米の投資家行動の違いも見受けられることが分かります。米国は長期的運用の国内株式を好むのに対して、日本では比較的、運用期間の短い国際債券型のファンドを好む傾向にあるようです。また、日本では海外資産へ投資するファンドに資金が集まっているのに対して、米国は国内の株式、債券が多くホームカントリーバイアスが強いのではないでしょうか。米国の売れ筋商品と自身のポートフォリオを比較してみるのも面白いかもしれません。


( 加藤 信之 )