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東芝がHD DVD事業からの撤退を発表、
一方でフラッシュ新工場を2カ所に建設

[2008年04月号]

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 東芝は2008年2月、HD DVD事業から撤退すると発表した。今後はHD DVDプレーヤとレコーダの新製品開発や生産を中止し、2008年3月末をメドに流通網への出荷を終了する。併せて、NAND型フラッシュメモリーの新工場を岩手県北上市と三重県四日市市の2カ所に建設することも発表した。新工場への投資総額は約1兆7000億円を想定する。

会見する東芝の西田厚聡社長
会見する東芝の西田厚聡社長

 記者会見した西田厚聡社長は、HD DVD事業からの撤退を決断した理由について「(HD DVDを支援していた)米Warner Bros. Studios社が年初に突然、Blu-ray支持へと方針を変更したことで市場における競争環境が急変した」ことを挙げ、「苦渋の決断ではあるが、市場の変化を直視して、その対応策を速やかに講じることが重要だ」と話した。東芝は、HD DVDプレーヤ/レコーダに加えて、パソコンやゲーム機器向けのHD DVDドライブの量産も終了する。HD DVDドライブを搭載した同社のノート型パソコン事業については、市場の動向を見ながら今後の方針を検討していく。すでにHD DVD製品を購入したユーザーに対するサポート体制としては、コールセンターを強化したり、補修部品を生産終了から8年間保有したり、記録用ディスクを一定期間入手できるような対応を取ったりする。海外のユーザーに対しても、国内に準じた対応を考えている。

 東芝によると、HD DVD製品の販売台数は、全世界でプレーヤが約70万台。このうち米国市場で約60万台を販売した。国内販売はプレーヤが約1万台、レコーダが約2万台。パソコンに搭載された製品は全世界で約30万台、HD DVDドライブとしては合計200万台を販売した。

 HD DVD事業からの撤退が同社の業績に与える影響について、西田氏は「現時点では確定していない」として明言を避けた。

新工場を2010年に竣工
 一方、NAND型フラッシュメモリーの新工場については、2棟の建設をほぼ同時に並行して行う。2009年春に建屋の建設に着工し、2010年の竣工を目指している。新棟は同社四日市工場の隣接地と岩手東芝エレクトロニクスの敷地内にそれぞれ建設することを決めた。生産能力は300mmウェーハ換算でそれぞれ月間最大15万~20万枚を予定している。将来的には次世代メモリーも新工場で生産していく考えだ。

 新工場の建設について、西田氏は「携帯電話機やポータブルオーディオプレーヤの記憶媒体、各種メモリーカードなど、NAND型フラッシュメモリー搭載機器が増えた上に、大容量化も進んでいる。2010年以降は、パソコンの記憶媒体としてSSD(solid state drive)の採用が見込まれるなど、NAND型フラッシュメモリーの新たな応用市場が創出される。チップの価格下落はあるが、将来の事業成長を考えながら設備投資については数年後を見据えて先手を打っていく」と述べた。さらに、これらの増産投資により、「パートナ企業である米SanDisk社と合わせた世界シェアで40%を目指したい」(同氏)という。なお、建設する新棟のうち1棟については、SanDisk社と共同運営していくことで合意している。もう1棟についても共同運営に向けて今後協議していくという。

(馬本 隆綱)

連絡先:広報室、03-3457-2100



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