チベット暴動:「ダライ・ラマは“司馬昭”」
温首相が暗に批判
中国の温家宝首相は30日、チベットで独立要求デモが起きた原因を三国志に出てくる「司馬昭の心」という故事に基づいて説明し、注目を集めている。
温首相はメコン川流域首脳会議に出席するために訪れたラオスのビエンチャンでチベット問題に触れ、「五輪を控えラサをはじめとするチベット族居住地域で発生した一連の暴力事件は『司馬昭の心』という言葉で説明できる」と指摘した。
司馬昭は、三国時代の魏の武将であり、皇帝を殺害して権力を奪った人物だ。温首相がチベット問題で司馬昭を引き合いに出したのは、今回の事態が露骨にチベットの分離独立を狙ったものであることを強調する狙いがあるとみられる。中華圏のメディアは、温首相が述べた司馬昭はチベットの精神的指導者ダライ・ラマを指すと分析した。
温首相が引用した「司馬昭の心」という故事は、皇帝と臣下という上下関係で下の地位にある人物が上の地位にある人物の権力を奪おうとする際に使う言葉であり、以前は独立国家だったチベットと中国の関係を表現するのは不適切との指摘もある。しかし、温首相があえてこの言葉を使ったのは、チベットの歴史を中国史の一部に組み入れようといういわゆる「西南工程」の一環とみられる。中国は韓国史である高句麗史を中国史の一部と見なす「東北工程」と並行して、チベット、新疆ウイグル両自治区の歴史を中国史に編入する西南工程を推進している。
■司馬昭の心
「司馬昭の心」(司馬昭之心)とは、三国志の魏書に基づく故事成語だ。魏の皇帝は実質的な権力を握った司馬昭を官位や財産で懐柔しようとしたが、司馬昭はそれを断り、自分が皇帝になるとの野心をむき出しにする。これを見た皇帝の側近は「司馬昭の心は道行く人も皆知っている」(司馬昭之心, 路人皆知)と述べ、司馬昭を処断すべきと主張した。この故事から「司馬昭の心」は「内心が明らかだ」「顔に書いてある」といった意味で使われるようになった。
北京=朴勝俊(パク・スンジュン)特派員
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