【バンコク藤田悟】タイ警察は6日、大規模な武器密輸を手掛ける「死の商人」として米捜査当局が行方を追っていたロシアの武器密売業者、ビクトル・ブート容疑者(41)をバンコク中心部のホテルで逮捕した。アフリカなどの紛争地に大量の武器を密輸していたほか、国際テロ組織アルカイダやアフガニスタンの旧支配勢力タリバンにも武器を流していた疑いが持たれている。
米捜査当局は、ブート容疑者がコロンビアの左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」と接触するためタイに入国するとの情報をつかみ、タイ警察に捜査協力を要請していた。米国側が身柄引き渡しを求めるとみられる。
旧ソ連空軍兵士だったブート容疑者は退役後、アフリカや中東、東欧などに武器密輸のネットワークを張り巡らせていたとされる。米国当局が「最悪の武器商人」として資産凍結などの措置を取っていた。
タイ警察によると、ブート容疑者は取り調べに「ゲームは終わった」とだけ話し、黙秘しているという。
毎日新聞 2008年3月7日 19時42分