独占インタビュー/マスク・ド・ゴルゴーン(4/4)
ファイトマネーは全額寄付というゴルゴーン氏。ハードなファイトとは正反対に、その生活は慎ましい。
  ――唐突ですが、ゴルゴーンさん的に苦手な、あるいは戦いたくない選手は誰でしょうか? 尊敬する選手、と言いかえてもいいのですが。

ゴ:…………!
※ここでゴルゴーン氏、はじけるように顔をあげる。

エ:はあ? 尊敬する選手ぅ? いるワケないじゃないそんなの。貴方ね、人間が蟻を尊敬すると思う? しないでしょ? ゴルゴーンにとっちゃ他のレスラーなんて、ゴジラの前に並んだ一軒家みたいなものよ。
“この国のレスラーはチビすぎて話にならない。オレとマトモに組み合いたいならあと1メートル身長を伸ばすんだな! まあ、それでもやっとオレの腰ぐらいだろうがね!”と言ってるわ。

ゴ:…………。

――FWFきっての長身ですからね。お二人がマネージャーになってからは大巨人というフレーズが定着しましたが(笑)。

エ:そう、あれは最高だったわ! 試合直前まで内緒にしていてね、観客達全員に大巨人コールさせたのよ! この子ったらノイローゼになるくらい落ちこん……ぐはっ!?

ス:口が軽くてよエウリュアレ。 失礼。次の質問をくださいます、ミスター?

――は、はい。えーと、ゴルゴーン選手と言えば特別ルールによるデスマッチですよね。掟破りの高圧電流デスマッチからもう二十回。先日の自衛隊火力演習中の八ヶ岳で戦うのは我が目を疑いました。毎回ファンのド肝を抜くアイデアですが、やはりそのあたりの演出はお二人が?
※ゴルゴーン氏のデスマッチは単純なランバージャック形式のものから、ロープに1万ボルトの高圧電流を流す、地雷原にリングを設置する、檻の中でライオンと戦う、といったものがある。マスコミを賑わわせたグランドキャニオン空中リングデスマッチはアメリカ政府に無許可で行ったものだった為、日本では放映されていない。残念。

ス:そんな、私たちがあんなひどいコト考えつくワケないでしょう? アレはぜんぶゴルゴーン本人の希望です。まだまだ刺激が足りない、なんなら海兵隊をつれてこいと申しております。

――あれで足りないんですか!

エ:まったく、ぜんぜん満足していない。エクスタシーにはほど遠い。実はいま、アメリカ政府と交渉中なんだ。セント・ヘレンズの火口の上にリングを作れないかってね。リングアウト、イコール、マグマの海への自由落下。プロレスラーとして最高の舞台なんじゃないかな(笑)

ゴ:…………。

――すごい。対戦相手が見つかるといいですね。

ス:ご安心ください。いざとなったらローランドゴリラと戦わせますわ。ファンの皆様の期待は裏切りません(微笑)。

ゴ:……!、……!

――それは楽しみです! なるほど、ゴルゴーンさんにとってプロレスは闘争本能や生存本能を満たすための場所なんですね。過酷な状況で戦えるならもうなんでもいいと……

エ:つまるところ、そういうコトになるんだろうな。守りに入りたくないんだ。その視点で言うと今のFWFのレスラーはみんな二流。いい戦いを見せよう、なんて考えがすでに小物。考えが逆。いい戦いを見せればファンはおのずと着いてくる。団体のブランドとか会場の大きさとか、メタボリック的なバッヂの競い合いに真実はない。

――たいへん耳が痛いです。派手さで客を呼んでいると非難される変則デスマッチですが、ゴルゴーンさんの中にはストイックな哲学があっての事だと。
デスマッチもあらかたやり尽くし、レスラーばかりか猛獣とまで戦ったゴルゴーンさんの次の目標は、やはりFWFの王座?


エ:え、将来の目標? ステンノ、どうなの? なんか考えてある?

ス:次は恐竜と戦わせろ、と言っている。

ゴ:……!!!!

――ゴルゴーンさんらしいですね(笑)。今日はありがとうございました。

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